最終年度は、①「LAPosome成熟におけるSNAP23のリン酸化の影響」について、mVenus-MORN2とMyc-Alfa-SNAP23(以下M-A-S23)のリン酸化変異体を発現するMΦ株を用い検証した。ザイモサンを与えファゴソームを形成させた場合、(①-1)SNAP23のリン酸化状態はLAPosome形成には影響ないが、その成熟化は非リン酸化型の場合に遅延した。また、その時、(①-2)LAPosome上に局在化するM-A-S23の非リン酸化型は有意に少なかった。つまり、SNAP23はリン酸化型で多くLAPosome上に局在化し成熟化に機能することが示唆された。さらに、(①-3)IκB キナーゼ(IKK2)の特異的阻害剤SC-514の存在下に同様に検証した結果、LAPosome成熟化はM-A-S23の野生型において顕著に抑制された。以上から、IKK2によりリン酸化されたSNAP23がLAPosome成熟に機能することがわかった。 次に、②「MORN2と相互作用する分子の検索」において同定されたPI4キナーゼA(PI4KA)について、MΦにおけるMORN2との相互作用、局在、LAPosome形成への関与を検証した。Flag-PI4KA安定発現MΦの細胞抽出液を用いた免疫沈降実験から、MORN2との相互作用が確認できた。また、免疫染色した結果、Flag-PI4KAは主に細胞膜に局在が見られた。さらに、このMΦ株ではLAPosome形成効率への影響が見られなかったため、PI4KA特異的阻害剤GSK-A1の効果を検証した。その結果、GSK-A1存在下ではLAPosome形成効率が顕著に亢進した。よって、PI4KA活性はLAPosome形成において抑制的に機能することが示唆された。 研究期間を通じ、LAPosome形成はMORN2の下流でSNAP23が動員され促進すること、SNAP23はIKK2でリン酸化されLAPosome成熟を促進することがわかった。また、PI4KAはMORN2の結合により活性が抑制されることでLAPosome形成が促進する可能性が考えられえた。
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