現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスES細胞由来心臓オルガノイド作製技術を基盤にFGF4シグナルだけではなくマウス胎児の心臓で発現するBMP10を添加することでヒトES細胞から形態変化の精度が高い心臓オルガノイドを作製できた。これらの心臓オルガノイドは胎児型心臓に形が類似していて、蛍光免疫染色によってMlc2a, Mlc2vなどの心筋細胞のマーカーを発現していることが明らかとなった。特に心臓の機能に重要な役割を果たすイオンチャンネルについてPatch clamp解析で、これらのヒトES細胞由来心臓オルガノイドに置いてNa電流とCa電流が確認された。 これらの心臓オルガノイドを用いてより詳細な評価を行い、ヒト心臓オルガノイドにおいてCx43, Cx40などのGap Junctionタンパク質やNa, Ca, HERG, IK1チャネルタンパク質が発現することを明らかにした。また、薬剤毒性評価やdrug screeningなどの心臓オルガノイドの技術的応用については、ヒト心臓オルガノイドを用いてHERG trafficking inhibition assayを行い、ペンタミジンによるHERG trafficking阻害が確認できた。さらに、高速カメラによる心筋収縮解析から心臓オルガノイドにおいて収縮と弛緩が確認された。 また、肺および心肺オルガノイド作製条件検討に用いたROCK阻害剤はヒト多能性幹細胞由来オルガノイドにおいて心臓だけではなく肺発生も促進することと組織学的解析により肺オルガノイドは肺特異的転写因子と気管上皮マーカーを発現することが分かったので、当初の計画どおり「ヒト多能性幹細胞由来の心肺オルガノイド作製に有効な自己組織化シグナル経路の探索及びヒトiPS由来肺オルガノイドの評価 」を達成できたと思われる。
|