研究課題
令和2年度から3年の助成終了時までで、前年度に作製した、ヒトiPS細胞から始原生殖細胞様細胞(Primordial germ cell-like cells; PGCLCs)への分化経過の、半日おきの10Xクロミウムを用いた単一細胞トランスクリプトームデータを用いてさらに候補遺伝子を絞り込んだ。今回は数学的手法としてoptimal transportの理論を用いることで、それまでPCAやtSNA、UMAPなどのクラスタリング手法でも分けられなかった分化早期の細胞を、PGCLCsへと分化するクラスターとPGCLCs以外の胚体外組織などに分化していくクラスターを検出することに成功し、これらを用いて、分化早期にPGCLCsになる細胞群で発現している遺伝子を検索する一方で、PGCLCsへの分化から逸れる細胞群で特徴的に発現が増加する遺伝子の検出に成功した。本期間で検出したPGCLCsへの分化を抑制していると考えられる遺伝子群は、その発現を抑制することがPGCLCsへの分化を強化すると考えられ、非常に興味深い。また、PGCLCsになると考えられる細胞群で検出した遺伝子群は、前年度に用いた因果推定手法(LiNGAM法)で検出できた遺伝子と一部重複した遺伝子を検出しており、関連が高いと考えられた。これらの結果より、PGCLC分化に関与している候補遺伝子2個、PGCLC以外の分化に関与している候補遺伝子2個に対して、ノックアウトヒトiPS細胞株の作製を開始し、分化実験を始めるに至った。
すべて 2021 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 備考 (2件)
Life Science Alliance
巻: 4 ページ: 1-24
10.26508/lsa.202000974
https://ashbi.kyoto-u.ac.jp/ja/news/20210219_research-result_saitou/
https://ashbi.kyoto-u.ac.jp/news/20210219_research-result_saitou/