研究課題
基盤研究(C)
胚発生の進行にともない,受精卵のもつ分化全能性は失われ個々の細胞は異なる細胞運命をもつ機能的な細胞へと分化する。単子葉植物においては分裂の非対称性やその後の細胞系譜は不明瞭であり,受精卵の第一分裂の重要性については未だ限定的な知見しか得られていない。本研究では、in vitroで作出したイネ受精卵発生過程を解析することにより、4細胞胚までの分裂パターンはin vivoと類似していることを示した。また,in vitroで作出した初期胚の細胞増殖能や,遺伝子発現プロファイルを明らかにした。
植物生理学
植物の細胞は,外部刺激に応答して脱分化し,個体へと再生する分化全能性を有することが知られている。しかしながら,全ての細胞が一様に脱分化を引き起こすとは限らない。植物細胞の分化全能性はどのように獲得され,どのように限定化されていくのか。この問いに答えるため,本研究ではイネの受精卵発生過程に着目した発生学的解析を行った。本研究の成果は,細胞の分化状態を規定する分子メカニズムの解明という基礎的な知見をもたらすのみならず,作物の育種や品種改良などの応用的な利用にもつながる可能性が期待される。