本研究では基部陸上植物であるゼニゴケのDNA損傷応答について明らかにし、シロイヌナズナと比較することで、ゲノム恒常性維持機構が、進化の過程でどのように変化してきたかを検討した。ゼニゴケにおいてもDNA損傷が生じるとDNA修復やDNA損傷に応答した遺伝子群が活性化するが、その制御方法はナズナとは異なっていた。ナズナのDNA損傷応答のマスターレギュレーターSOG1転写因子に近いゼニゴケMpNAC9は、DNA損傷応答の制御の一部は担っているものの、主な働きとしては活性酸素消去系の制御であった。ゼニゴケでDNA損傷応答を主に統括している因子は、水中植物から受け継がれた因子である可能性が考えられた。
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