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2022 年度 実施状況報告書

葉形成におけるAS2と核小体因子による協調的なエピジェネティック遺伝子制御の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K06702
研究機関名古屋大学

研究代表者

町田 泰則  名古屋大学, 理学研究科, 名誉教授 (80175596)

研究分担者 笹部 美知子  弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (00454380)
町田 千代子  中部大学, 応用生物学部, 特定教授 (70314060)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード葉形成 / 表と裏 / アシンメトリー遺伝子 / 核小体 / エピジェネティック制御
研究実績の概要

昨年度までに、ウイルスの強病原性遺伝子 betaC1 を導入・発現させたシロイヌナズナでは、種子形成頻度が著しく低下することがわかった。低下の原因が雄性配偶体か雌性配偶体のどちらの異常が原因であるかを検討するために、betaC1発現植物と野生型植物との他家受粉交配実験を行った。その結果、betaC1非形質転換体からの花粉をbetaC1 を発現する植物の雌蕊に加えると種子形成レベルが著しく低下するが、逆の交配を行うとほとんど影響がないことがわかった。この結果は、 betaC1 の発現が、雌性配偶体か、あるいは雌性生殖器官のどちらかの形成異常の原因になっていることを示している。同様の実験を as2 変異体で行うと、異常が見られるレベルが緩和されることがわかった。これらの結果は、野生型の AS2 遺伝子が、betaC1 遺伝子の病原性を強調する役割を果たしていることを示すと考えられる。以上の結果を、64回日本植物生理学会において発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

betaC1 の発現が、雌性配偶体形成における減数分裂、あるいは雌性生殖器官の機能不全と関連していることが推察された。また、同様の実験を as2 変異体で行うと、betaC1 によるこのような雌性配偶体あるいは雌性生殖器官に関する異常が緩和されたことから、 AS2 遺伝子もこのような配偶体あるいは生殖器官形成に関わっている可能性が考えられる。このようなAS2 に対する知見は、本研究によって初めて得られたものであり、貴重な成果と言える。

今後の研究の推進方策

これまでの研究で観察された AS2 の雌性配偶体形成、あるいは雌性器官形成に対する影響を、細胞あるいは分子レベルで解明することを目指す。すでに我々は、体細胞分裂においては、 AS2 タンパク質は分裂後期に分配されつつある娘染色体間の bridge 構造(anaphase bridge)に局在することを報告している。今後、AS2 タンパク質が、雌性配偶体形成に関わる減数分裂において娘染色体の分配においても関わっているかどうかを調べる計画である。一方、AS2タンパク質が結合するタンパク質と DNA についての研究も進展しつつある。これらの結果を総合的に解析して、AS2 の花粉(雌性配偶体を含む構造体)形成における役割を、betaC1 の性質とも合わせて解明する。

次年度使用額が生じた理由

研究実施場所の変更で機器および実験植物の移動が必要になった。
また、その後人工気象器の故障により、修理の期間中、実験植物の栽培ができなかったため。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 学会発表 (8件) 備考 (2件)

  • [学会発表] シロイヌナズナのKinesin-14ファミリータンパク質のリン酸化による機能制御2023

    • 著者名/発表者名
      笹部美知子、三上裕大、冨田昌伸、山地良樹、濱田隆宏、中神弘史、橋本隆、町田泰則
    • 学会等名
      第64回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] ウイルス病原性遺伝子を利用した葉形成に関る ASYMMETRIC-LEAVES2 遺伝子の機能解明2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木崇紀、岩川秀和、安藤沙友里、小島晶子、町田千代子、笹部美知子、栗原大輔、東山哲也、町田泰則
    • 学会等名
      第64回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] シロイヌナズナの葉の発生分化に関わるAS2と核小体タンパク質によるDNAメチル化維持機能の解明2023

    • 著者名/発表者名
      小島晶子、岩川秀和、日比野哲紀、高橋広夫、安藤沙友里、笹部美知子、伊藤正樹、町田泰則、町田千代子
    • 学会等名
      第64回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] 植物のCxxC-type zinc fingerタンパク質AS2の分子的機能の解析2022

    • 著者名/発表者名
      安藤沙友里、野元美佳、岩川秀和、Vial-Pradel Simon、多田安臣、山本興太朗、町田泰則、小島晶子、町田千代子
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] AS2 bodyが関わる葉の発生分化における核小体の新しい機能2022

    • 著者名/発表者名
      町田千代子、安藤沙友里、岩川秀和、栗原大輔、東山哲也、笹部美知子、町田泰則、小島晶子
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] 葉の形成に関わるAS2遺伝子およびAS2/LOBファミリーの起源をゲノムデータベースから探る2022

    • 著者名/発表者名
      岩川秀和、安藤沙友里、小島晶子、笹部美知子、伊藤正樹、町田泰則、町田千代子
    • 学会等名
      日本植物学会第86回大会
  • [学会発表] ゼニゴケの classⅡAS2ファミリー遺伝子の解析2022

    • 著者名/発表者名
      小島晶子、西浜竜一、石田咲子、安藤沙友里、河内孝之、町田千代子、町田泰則
    • 学会等名
      ゼニゴケの classⅡAS2ファミリー遺伝子の解析
  • [学会発表] 葉の向背軸分化に関わるAS2のAS2/LOBサブドメインの分子的機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      安藤沙友里、野元美佳、岩川秀和、Simon Vial-Pradel、多田安臣、山本興太朗、町田泰則、小島晶子、町田千代子
    • 学会等名
      日本植物学会第86回大会
  • [備考] 名古屋大学理学研究科生命理学専攻発生メカノセルバイオロジー

    • URL

      https://www.bio.nagoya-u.ac.jp/~yas/dmcb/indexjp.html

  • [備考] 中部大学町田千代子研究室

    • URL

      https://www3.chubu.ac.jp/faculty/machida_chiyoko/

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公開日: 2023-12-25  

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