研究課題/領域番号 |
20K06702
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
町田 泰則 名古屋大学, 理学研究科, 名誉教授 (80175596)
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研究分担者 |
笹部 美知子 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (00454380)
町田 千代子 中部大学, 応用生物学部, 特定教授 (70314060)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ASYMMETRIC LEAVES 2 遺伝子 / 葉の形態発生 / 核小体 / AS2 ボディー / リボソーム RNA 遺伝子 / betaC1 遺伝子 |
研究実績の概要 |
本研究の開始時には、我々は、1. AS2 は、葉の裏側化因子である ARF3 の発現を抑制し、葉の表側分化を促進すること、2. このような遺伝子抑制と葉の表側分化には、 AS2と共に、核小体で機能している多くのタンパク質(ヌクレオリンなど)が共同して機能すること、3. AS2 は葉の表側細胞の核小体の中で顆粒(ボディー)を形成すること、4. ベゴモウイルスの病徴蛋白質βC1はAS2と相互作用し、病因となっていることを提唱していた。本研究では、上記のような知見に立脚し、シロイヌナズナ葉の形態形成と細胞分裂におけるAS2の分子機能の解明を目指した。その結果、次のようなことがわかった。1. AS2 ボディーは、核小体の周縁部内側に2個形成され、その外側には一対の第4染色体上のリボソーム DNA 反復配列からなる凝集体(NOR4)と隣接する。2. as2 変異体にヌクレオリンなどの核小体機能に関わる遺伝子の変異を加えると、as2 異常が増強され、葉は棒状化する。3. このような核小体因子の変異体では、AS2 ボディーの分布パターンが崩壊する(以上は全期間の成果)。5. βC1は、核小体に移行し生殖細胞分化を抑制した(2023年度成果)。6. AS2 ボディーは細胞分裂周期M期直前に形成され、染色体とともに、娘細胞に分配される(2023年度成果)。以上の知見は、AS2 タンパク質と複数の核小体タンパク質が、協調しながら、正常な核小体機能維持に関わり、その協調的作用が葉形成にとって枢要であることを示す。我々は、AS2 は、核小体ストレスから細胞機能を防御する因子であるという作業仮説を建てるに至った。最近、多数の化合物ライブラリーを用いた研究を行った(未発表)。結果は上記のような仮説を支持しており、AS2と核小体ストレスに関する分子的理解について新基軸を提供できるものと期待している。
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