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2021 年度 実施状況報告書

葉緑体核様体の光分散・暗凝集反応の分子機構および生理学的役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K06710
研究機関大阪医科薬科大学

研究代表者

岩渕 功誠  大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (30583471)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード葉緑体 / 光応答 / 核様体 / 光分散反応 / 暗集合反応 / ゼニゴケ / RNA-Seq / 蛍光寿命イメージング(FLIM)
研究実績の概要

我々は近年,ゼニゴケにおいて,葉緑体核様体が明所で小さなスペックルを複数形成しながら葉緑体全体に分散し(光分散反応),暗所でスペックルの消失とともに葉緑体中央に集まる(暗集合反応)現象を見出している.本年度は1)RNA-Seq解析と2)DAPIを用いた蛍光寿命イメージングを実施した.
1)RNA-Seq解析
核様体の光分散反応の役割として「核様体が分散することで光合成に関わる遺伝子の転写が活性化される」という仮説を立てた.この考えに基づいて,核様体が暗集合および光分散をしている条件でトータルRNAを抽出後,RNA-seq解析を行った.その結果,明所と暗所において異なる遺伝子発現プロファイルが確認された.また,光分散反応を阻害する薬剤の存在下では,明所にも関わらず暗所で見られる遺伝子発現プロファイルが見えてきた.これらの知見は,葉緑体遺伝子の発現調節に核様体の光分散反応・暗集合反応が関与することを示唆するものであり,「核様体の空間的配置という独自の視点から葉緑体機能を紐解く」という本研究目標の達成に一歩近づいたと考えられる.
2)DAPIを用いた蛍光寿命イメージング
DAPIがDNAと結合すると,その蛍光寿命に変化が生じる.この性質を利用してDNAの凝縮状態を定量化することができる.明暗条件下で培養したゼニゴケをDAPI染色した後,蛍光寿命イメージング顕微鏡を用いて,葉緑体DNAに結合したDAPIの蛍光寿命を測定した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

「RNA-Seq解析」は計画通りに研究を進めることができ,良好な結果が得られている一方,計画書に記載した「ライブイメージング」と「突然変異体スクリーニング」に遅れが生じているため,総合的にやや遅れていると判断した.

今後の研究の推進方策

【RNA-Seq解析】 データ解析を進める.明暗条件下で変化する遺伝子を特定する.
【蛍光寿命イメージング】 データ解析を進める.明暗条件下で葉緑体DNAの凝縮状態を定量化し,RNA-Seqデータとの関連性を見出す.
【ライブイメージング】 光分散反応の素過程を抽出する.
【突然変異体スクリーニング】 これまでのスクリーニングでは有望株は得られていない.今後はスクリーニングを一時中断して,上述の3つの実験計画に集中することで論文投稿を目指したい.

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額は11,222円であった.次年度にDNAシーケンス解析等の高額な実験を行うために持ち越すことにした.

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公開日: 2022-12-28  

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