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2020 年度 実施状況報告書

ペルオキシソームタンパク質輸送を制御するユビキチンシグナルの役割

研究課題

研究課題/領域番号 20K06711
研究機関基礎生物学研究所

研究代表者

真野 昌二  基礎生物学研究所, オルガネラ制御研究室, 准教授 (20321606)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードペルオキシソーム / シロイヌナズナ / apem変異体 / タンパク質輸送 / Peroxin / ユビキチン
研究実績の概要

単膜系オルガネラのペルオキシソームは、脂肪酸代謝など個体の維持に必須の様々な機能をもつ。これらの機能を担うペルオキシソームタンパク質は全て核ゲノムにコードされているため、ペルオキシソームへの正確なタンパク質輸送が細胞、ひいては個体の維持に重要である。申請者がタンパク質輸送異常を示す変異体として単離したシロイヌナズナのapem7 (aberrant peroxisome morphology 7) 変異体の解析から、APEM7遺伝子がペルオキシソーム形成因子 (PEX: Peroxin) の1つPEX4に相同性のあるタンパク質をコードし、ユビキチン結合活性をもつことが明らかとなった。植物ペルオキシソームの膜上には、PEX4の他にもユビキチン化に関わる因子が存在し、それら因子の機能低下はペルオキシソームタンパク質輸送の異常を示し、その結果植物体の発育不全や胚発生致死を引き起こす。本申請課題では、ペルオキシソームタンパク質輸送を制御するユビキチンシグナルの分子機構の解明と、その制御機構の植物種間における共通性あるいは種特異性に迫る。
令和2年度は、PEX4におけるin vivoにおけるユビキチン化の状況と植物個体への影響を解析した。これまでにin vitroではapem7変異をもつPEX4もユビキチン化されることを明らかにしている。一方、野生型およびapem変異体から抽出した総タンパク質を用いて、作製したPEX4の特異抗体によるイムノブロット解析を行ったところ、in vitroの結果と同様、変異型PEX4もユビキチン化を受けるものの、還元剤における感受性が低下していることが明らかとなった。この異常なユビキチン化により、ペルオキシソームタンパク質レセプターのPEX5がペルオキシソーム膜に集積することで、タンパク質輸送に異常をきたすことが考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに非常に力価の高いPEX4抗体の作製に成功し、細胞内のPEX4の局在やPEX4のユビキチン化修飾などの動態を明らかにすることができ、現在論文を執筆中である。この特異抗体を用いることで、免疫沈降実験が可能となり、PEX4と中心としたタンパク質輸送複合体を形成する因子の同定とそれらの機能解析が可能となり、現在、準備を進めている。

今後の研究の推進方策

PEX4を中心としたペルオキシソーム膜上に存在するタンパク質輸送複合体の構成因子の同定とそれらの機能解析を進める。具体的には、PEX4抗体を用いた免疫沈降サンプルを用いてMS解析を行い、相互作用因子を同定する。それらをコードする遺伝子の破壊株において、ペルオキシソームタンパク質輸送と個体の表現型を明らかにする。
上記の解析により同定した相互作用因子のゼニゴケにおけるホモログを同定し、ゲノム編集による遺伝子破壊株を作製後、ペルオキシソームタンパク質輸送への影響を調べる。また、ゼニゴケのPEX4プロモーターとレポーターとの融合遺伝子を導入した、形質転換ゼニゴケを作製し、どの時期のどの細胞でPEX4の遺伝子が発現しているか明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

今年度は、新型コロナ感染の感染拡大防止のため、4月~6月にかけてテレワーク業務となり、当初の計画どおりの実験を遂行できなかった。加えて、学会や研究打ち合わせについてもほとんどがオンライン開催となった。このため、消耗品や旅費の使用が計画より少ない状況となった。コロナの影響は未だ予断を許さない状況であるため、令和3年度も学会等はオンライン開催の可能性が高いが、現在のところ研究は実施可能であるため、令和2年度に使用しなかった経費も含め適切に使用することにより、本課題を効率的に推進していく。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] ペルオキシソーム形成に関わるシロイヌナズナAPEM6様タンパク質の機能比較2021

    • 著者名/発表者名
      神垣あかね、西村幹夫、真野昌二
    • 学会等名
      第62回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] 水溶性ビタミンを介した母体による胚と胚乳の発生制御2021

    • 著者名/発表者名
      石本聖絵、鈴木雅晴、杉木愛、木嵜暁子、真野昌二、野坂(髙橋)実鈴、鈴木俊哉、タキムニュン、志水(佐藤)佐江、豊田敦、鈴木孝征、田畑亮、櫻井望、澤進一郎、長戸康郎、マッカーティードナルド、佐藤豊
    • 学会等名
      日本植物学会第84回大会

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公開日: 2021-12-27  

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