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2022 年度 実施状況報告書

ペルオキシソームタンパク質輸送を制御するユビキチンシグナルの役割

研究課題

研究課題/領域番号 20K06711
研究機関基礎生物学研究所

研究代表者

真野 昌二  基礎生物学研究所, オルガネラ制御研究室, 准教授 (20321606)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードペルオキシソーム / シロイヌナズナ / apem変異体 / タンパク質輸送 / Peroxin / ユビキチン
研究実績の概要

真核細胞に普遍的に存在するオルガネラのペルオキシソームは、脂肪酸代謝や活性酸素の除去など細胞、ひいては個体の維持に必要な様々な機能をもつ。これらの機能を司るペルオキシソームタンパク質は全て核ゲノムにコードされているため、翻訳後のタンパク質がペルオキシソームへ正確に輸送されることが必要である。研究代表者がタンパク質輸送異常を示す変異体として単離したシロイヌナズナのapem7 (aberrant peroxisome morphology 7) 変異体の解析から、APEM7遺伝子がペルオキシソーム形成因子 (PEX: Peroxin) の1つPEX4に相同性のあるタンパク質をコードし、ユビキチン化のE2酵素として働くUbiquitin-conjugating (UBC) 活性をもつことが明らかとなった。植物ペルオキシソームの膜上には、PEX4の他にもE3酵素として働くユビキチンリガーゼ等ユビキチン化に関わる因子が存在する。それら因子の機能低下はペルオキシソームタンパク質輸送の異常を示し、その結果植物体の発育不全や胚発生致死を引き起こす。本課題では、ペルオキシソームタンパク質輸送を制御するユビキチンシグナルの分子機構の解明と、その制御機構の植物種間における共通性あるいは種特異性に迫る。
これまでに、PEX4を介したユビキチン化の最終的なターゲットとして、サイトソルに局在するペルオキシソームタンパク質レセプターのPEX5が修飾を受け、分子量が大きくなること、野生型ではPEX5は主に可溶性画分に局在するが、apem7変異体では膜画分に局在することを明らかにすることができ、本年度は、以上の結果をまとめて学会で報告するとともに、論文発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでのapem7を用いた成果をまとめ、2021年11月に論文を投稿した。レビュアーからは好意的なコメントが寄せられ、修正原稿を投稿した結果、2022年5月に発表に至った。また、この成果を受け、別の雑誌からユビキチンに関する総説の依頼を受け投稿した(現在、査読中)。加えて、apem7を含めたイメージングを指標にしたスクリーニングにより得られた変異体を用いたペルオキシソーム研究のレビューを執筆し、2022年5月に発表した。さらに、2023年6月に開催されるThe 33rd International Conference Arabidopsis Researchにて本研究成果を発表予定である。

今後の研究の推進方策

apem7変異体で研究されるペルオキシソーム膜上にPEX5のユビキチン化の解析を継続する。
これまでにシロイヌナズナのペルオキシソーム膜上のユビキチン化因子(PEX1、PEX2、PEX4、PEX6、PEX10、PEX12、APEM9)の情報を元に、ゼニゴケの相同遺伝子の同定に成功し、それらをCripr/Cas9法による遺伝子破壊株の作製を進めてきた。このうちPEX4、PEX12の遺伝子破壊株を作製できたので、ペルオキシソームタンパク質輸送および個体への影響を調べる。また、PEX4プロモーターとレポーターとの融合遺伝子を導入した形質転換ゼニゴケを作製し、ゼニゴケの成長過程のどの時期のどの細胞でPEX4の遺伝子が発現しているか明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

シロイヌナズナPEX5のユビキチン化の詳細な解析とゼニゴケのゲノム編集株の解析を行う必要があること、及び2023年6月に開催されるThe 33rd International Conference Arabidopsis Researchにて本研究成果を発表予定であるため、次年度使用が必要である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Pexophagy in plants: a mechanism to remit cells from oxidative damage caused under high-intensity light2023

    • 著者名/発表者名
      Goto-Yamada, S., Oikawa, K., Hayashi Y., Mano, S., Yamada, S. and, Nishimura, M.
    • 雑誌名

      Autophagy

      巻: 19 ページ: 1611-1613

    • DOI

      10.1080/15548627.2023.2175570

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Pexophagy suppresses ROS-induced damage in leaf cells under high-intensity light2022

    • 著者名/発表者名
      Oikawa, K., Goto-Yamada, S., Hayashi, Y., Takahashi, D., Kimori, Y., Shibata, M., Yoshimoto, K., Takemiya, A., Kondo, M., Hikino, K., Kato, A., Shimoda, K., Ueda, H., Uemura, M., Numata, K., Ohsumi, Y., Hara-Nishimura, I., Mano, S., Yamada, K., and Nishimura, M.
    • 雑誌名

      Nat. Commun.

      巻: 7 ページ: 7493

    • DOI

      10.1038/s41467-022-35138-z

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Ubiquitin-conjugating activity by PEX4 is required for efficient protein transport to peroxisomes in Arabidopsis thaliana.2022

    • 著者名/発表者名
      Mano, S., Hayashi, Y., Hikino, K., Otomo, M., Kanai, M., and Nishimura, M.
    • 雑誌名

      J. Biol. Chem.

      巻: 298 ページ: 102038

    • DOI

      10.1016/j.jbc.2022.102038

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Image-based analysis revealing the molecular mechanism of peroxisome dynamics in plants2022

    • 著者名/発表者名
      Goto-Yamada, S., Oikawa, K., Yamato, T.K., Kanai, M., Hikino, K., Nishimura, M., and Mano, S.
    • 雑誌名

      Front. Cell Dev. Biol.

      巻: 10 ページ: 883491

    • DOI

      10.3389/fcell.2022.883491

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 植物ペキソファジーは、強光下でおこるROS生成による植物細胞の傷害を抑制する2023

    • 著者名/発表者名
      及川和聡、後藤(山田)志野、林八寿子、柴田美智太郎、近藤真紀、真野昌二、上田晴子、西村いくこ、山田健志、西村幹夫
    • 学会等名
      第64回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] シロイヌナズナのペルオキシソームへの効率的なタンパク質輸送にはPEX4によるユビキチン結合活性が必要である2022

    • 著者名/発表者名
      真野昌二、林八寿子、曳野和美、大友政義、金井雅武、西村幹夫
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会年会
  • [図書] In Plant Omics. Advances in big data biology2022

    • 著者名/発表者名
      Kanai, M., Tamura, K., Tarnawska-Glatt, K., Goto-Yamada, S., Yamada, K., and Mano, S.
    • 総ページ数
      270
    • 出版者
      CABI
    • ISBN
      978-1-78924-751-0

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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