研究課題
真核細胞に普遍的に存在するオルガネラのペルオキシソームは、脂肪酸代謝や活酸素の除去等、細胞、最終的には個体の維持に必須な機能をもつ。ペルオキシソームを構成するタンパク質は全て核ゲノムにコードされているため、ペルオキシソームが正常な機能を発揮するには、翻訳後のタンパク質がペルオキシソームへ正確に輸送されることが必要である。研究代表者がタンパク質輸送異常を示す変異体として単離したシロイヌナズナのapem7 (aberrant peroxisome morphology 7) 変異体の解析から、APEM7遺伝子がペルオキシソーム形成因子 (PEX: Peroxin) の1つPEX4に相同性のあるタンパク質をコードし、ユビキチン化のE2酵素として働くUbiquitin-conjugating (UBC) 活性をもつことが明らかとなった。植物ペルオキシソームの膜上には、PEX4の他にもユビキチンリガーゼやATPase等、ユビキチン化に関わる因子が存在し、それらの因子が一つでも機能低下を引き起こすとペルオキシソームタンパク質輸送の異常となる。本研究では、ペルオキシソームタンパク質輸送を制御するユビキチンシグナルの分子機構の解明を目的として、シロイヌナズナPEX4の機能解析、apem7変異によるユビキチン化の動態、PEX4遺伝子の発現制御の解析を行った。これまでに、in vitroおよびin vivoでのPEX4のユビキチン化状態が異なること、シロイヌナズナの生育過程及び種々の器官におけるPEX4遺伝子の発現パターンを明らかにして論文として発表した。2023年度は、これまでのPEX4の結果をまとめて、シロイヌナズナの国際学会で報告するとともに、図書「Modifications in Biomacromolecules」の第2章として、PEX4を含むユビキチン化制御機構の内容を掲載した。
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Genes
巻: 14 ページ: 1327
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