研究課題/領域番号 |
20K06717
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
今野 紀文 富山大学, 学術研究部理学系, 講師 (50507051)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 浸透圧調節 / 広塩性 / メダカ / 鰓 / 塩類細胞 / 転写因子 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はメダカの広塩性において重要である鰓の海水型塩類細胞に作用する因子の同定と、その作用機構を明らかにすることにある。その候補因子のひとつとして浸透圧ストレス転写因子(Ostf1)に注目している。これまでの研究において、メダカへの高浸透圧処理により鰓のOstf1発現が顕著に増加すること、海水適応ホルモンとして知られるコルチゾルにより発現誘導されることを示している。令和2年度はメダカのOstf1遺伝子をゲノム編集技術TALENにより改変したOstf1-KOメダカの作出を行った。現在、標的配列に変異を導入した変異体(F0)を多数得ており、単一の変異配列を有したKO系統の確立を行うため、現在、野生型との交配を進めている。また、メダカへの高浸透圧処理は鰓だけでなく、ほぼ全ての体組織におけるOstf1遺伝子の発現を上昇させた。さらにメダカ培養細胞への高浸透圧処理によってもOstf1b発現が増加したことから、Ostf1は高浸透圧に対する細胞保護作用などの普遍的な機能に関与している可能性が示唆された。令和3年度は作出したKO個体を用いた表現型解析を進めていくことで、その機能に迫ることに加えて、Ostf1発現を調節する細胞内シグナリングについての解析も進めていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの感染拡大による研究活動の停止などの影響を受けたが、現在できることに絞って集中的に進めたことで、当初予定していたKO個体の作製は予定通り進めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
Ostf1-KOメダカの系統化については引き続き交配を繰り返して単一の変異配列を有したKO系統の確立を目指すと共に、メダカ培養細胞を用いて高浸透圧処理の受容からOstf1の発現に至るシグナル経路の解析を、シグナル経路の阻害剤などを用いて進めていく予定である。またOstf1遺伝子の発現調節に関わる転写因子を探索するためOstf1遺伝子のプロモーター解析もレポーターアッセイにより進めていく予定である。
|