研究課題
令和3年度はメダカのOstf1遺伝子をゲノム編集技術TALENにより改変したOstf1a-KOメダカとOstf1b-KOメダカの系統確立を令和2年度に引き続き行った。その結果、Ostf1a遺伝子のcoding領域に13bpを欠失したOstf1a-KO系統と、Ostf1b遺伝子のcoding領域に4 bpと13 bpを欠失した2種類のOstf1b-KO系統の作成に成功した。現在、動物実験に必要なホモKO系統を増やしている。また、両系統を交配して両遺伝子の機能欠損個体(dKO)の作成を行っている。また、メダカ培養細胞OLHdrR3にOstf1b遺伝子を過剰発現させた細胞を作成し、正常細胞とそれを500 mOsmの培地で処理した高浸透圧処理群の3群でRNA-seq解析を行った。その結果、細胞骨格系の複数の同じ遺伝子が高浸透圧処理群とOstf1b過剰発現群で上昇したため、リアルタイムPCR解析により標的遺伝子を絞り込んだ。その結果、アクチン重合に関与するCdc42エフェクタータンパク質3(CDC42EP3)という遺伝子がOstf1bのエフェクター遺伝子である可能性が示唆されたため、今後はOstf1bとCDC42EP3との関係について調べていく。また、作成したOstf1-KOメダカを用いた高浸透圧処理によりどのような表現型が表出するのかを解析していく。
2: おおむね順調に進展している
昨年と同様にコロナの影響は多少あったが、現在できることに的を絞って研究を進めたことでKO系統を確立でき、次年度の動物実験へと計画通り進めることができた。
今後は作成したOstf1-KOメダカを用いた高浸透圧処理によりどのような表現型が表出するのかを解析していく。具体的にはCDC42EP3の発現への影響やKO個体を高浸透圧処理した際の生存率に及ぼす影響などを探っていく。またOstf1bの発現誘導に影響を及ぼす上流因子について調べるため、高浸透圧刺激によって1時間以内に活性化あるいは発現誘導する因子をメダカ培養細胞を用いて探索していく。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)
Genes Brain, and Behavior
巻: 21 ページ: e12780
10.1111/gbb.12780.
Peptides
巻: 145 ページ: 170623
10.1016/j.peptides.2021.170623.