チョウ類の成虫の翅の表現型可塑性として、鱗粉構造や色彩パターンを種特異的に季節に応じて変化させ、その制御に神経内分泌因子が関与していることが示唆された。予期せず、ムラサキシジミ成虫の翅には季節型があることも判明した。幼虫および蛹体色発現についても種特異的に異なる環境要因によって体色変化を誘導しており、種の多様性を知る上で学術的な意義がある。「なぜ、野外の季節・環境変化の違いにより、色彩や他の形質を変化させる必要があるのか?」との、誰もが不思議に思う問いに対する生理学的な仕組みの一部が解き明かされたことは社会的意義がある。本研究は、各種チョウ類の生存戦略・進化多様性の解明への手掛かりとなる。
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