研究課題/領域番号 |
20K06734
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
宮園 貞治 旭川医科大学, 医学部, 助教 (50618379)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 性差 / ストレス / 幼少 / 母仔分離 / 内分泌 / ホルモン / 自律神経 |
研究実績の概要 |
幼少期に虐待やネグレクト(育児放棄)などの大きなストレスを継続的に経験すると、大人になった時に、うつ病や心的外傷後ストレス症候群(Post Traumatic Stress Disorder;PTSD)などの精神的疾患が発症する確率が高くなるだけでなく、心臓病や肺がんといった身体の異常の発症率も上昇すると言われている。このように大人になった時に精神だけでなく身体までにも引き起こされる異常は、成長過程における脳内環境の不可逆的な変容が長期にわたって継続したためと考えられるが、その詳細は明らかではない。本研究では、幼少期に母仔分離ストレスを継続的に経験したマウスを用いて、幼少期ストレスによって精神と身体の両方に異常を引き起こす脳内環境の変容機序の解明を目的とした。 令和4年度は次のような成果を得た。嗅覚による先天的恐怖反応試験時における、内分泌性のストレス耐性の指標である血中コルチコステロン濃度を調べた。その結果、幼少期ストレスによって、オスでは先天的恐怖が存在しない状況でも恐怖存在下と同レベルの高濃度で維持されていた。その結果、恐怖存在下でも濃度の上昇が見られなくなった。一方、メスでは幼少期ストレスによる変化は特に見られなかった。また、自律神経性のストレス耐性を調べた。その結果、先天的恐怖下においてオスとメスで異なる変化が見られた。今後、このオスとメスで異なる脳内環境の変容機序の解明に取り組んでいく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた内分泌系と自律神経系の変容について解析結果を得たので。
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今後の研究の推進方策 |
ほぼ予定通り進行しているので研究の大幅な変更はないが、計画していた研究についてより詳細な解析に今後取り組んでいく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、昨年度の研究計画が一部予定通り進行しなかったため。研究計画の遂行にあたり、実験動物や免疫組織化学染色実験等に必要な試薬や消耗品等を購入する。
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