| 研究課題/領域番号 |
20K06735
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| 研究機関 | 岩手大学 |
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研究代表者 |
若林 篤光 岩手大学, 理工学部, 助教 (30332498)
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| 研究分担者 |
山本 欣郎 岩手大学, 農学部, 教授 (10252123)
吉田 竜介 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (60380705)
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| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 味覚 / 化学感覚 / 高濃度塩味 / 受容体 / ノックインマウス / 免疫組織化学 / 味細胞 |
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| 研究実績の概要 |
高等動物の感じる味覚のうち高濃度塩に対する不快な塩味を受容する分子メカニズムは全くわかっていない。我々は独自に高濃度塩味受容体候補遺伝子を見出した。本研究では同候補遺伝子の最終エクソンの停止コドンをCreコード領域の配列と置換したノックインマウスを作出し、Cre依存的にGCaMP3を発現するレポーター系統と交配することで、目的遺伝子の発現部位が、GFPのバリアントであり同時にカルシウムセンサー型 組換えタンパク質でもあるGCaMP3によって標識された遺伝子組み換えマウスを得た。
今年度はこのマウスを用いて免疫組織化学的手法により、候補遺伝子の味蕾、味細胞における発現の有無を検討した。候補遺伝子の発現は全ての味蕾において確認された。味雷中の味細胞は、形態学的特徴およびマーカー遺伝子の発現パターンなどによってI型~IV型の4種類に分類される。各型の味細胞特異的マーカータンパク質とGFP抗体を用いた2重染色の結果、我々の候補遺伝子は主にI型味細胞に発現していた。茸状乳頭においては一部のGFP陽性細胞がII型味細胞マーカーと共発現することが示唆されたが、これについては現在も詳細に検討を続けている。有郭乳頭ではI型味細胞以外での発現は認められなかった。
またこのマウスの摘出した舌を酵素処理することで舌上皮を剥離し、ここから得られた舌上皮-味蕾サンプルを用いて、GCaMP3陽性味細胞の味刺激に対する生理学的応答をGCaMP3をセンサーとしてカルシウムイメージングにより検討した。GCaMP3陽性味細胞の一部は高濃度塩味を含むいくつかの味刺激に応答したが、特定の味に対する応答とGCaMP3陽性味細胞の間に強い相関はなかった。我々の候補遺伝子を発現する細胞はカルシウム以外の出力により応答するかもしくは本遺伝子産物が味覚受容体ではない可能性がある。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本計画の一部である、線虫を外来発現系として用いた高濃度塩味受容体候補遺伝子の機能解析において十分な進捗が得られなかった。この実験系を用いることで本遺伝子産物が細胞外の高濃度塩に応答する分子であることを示唆する結果は得られているものの、充分に高い再現性が得られているとはいいがたい。
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| 今後の研究の推進方策 |
発現細胞の検討では、観察例を増やすことで、より正確な結論を得る。また候補遺伝子産物の機能解析では、線虫発現系、ノックインマウスいずれの実験系においても現在のモニター系とは異なるリードアウトを観察する系の立ち上げに着手する。
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