• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

ラボとフィールドの往還研究によるクラゲの光受容・卵成熟誘起機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K06736
研究機関宮城教育大学

研究代表者

出口 竜作  宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 教授 (90302257)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード光受容 / 光周期 / クラゲ
研究実績の概要

エダアシクラゲには、暗期の後の明刺激に反応して配偶子放出(放卵・放精)に至る「明タイプ」と、その逆の、明期の後の暗刺激によって配偶子を放出する「暗タイプ」が存在する。また、青森県青森市浅虫で採集された明タイプと宮城県塩竈市浦戸野々島で採集された暗タイプを掛け合わせてできた「F1ハイブリッド個体」は、明タイプと暗タイプの中間的な形質を示すことが分かっている。今回、明タイプ、暗タイプ、F1ハイブリッドのそれぞれメス系統の個体から卵巣のみを集め、トランスクリプトーム解析を行い、発現しているオプシンを探索した。その結果、明タイプの卵巣からは3種類(CpLop1, CpLop2, CpLop3)、暗タイプの卵巣からは4種類のオプシン(CpDop1, CpDop2, CpDop3, CpDop4)を見つけることができた。また、F1ハイブリッドの卵巣には、明タイプと暗タイプの双方のオプシン7種類すべてが発現していることが確認された。既知の動物オプシンの塩基配列との比較を行ったところ、エダアシクラゲの卵巣で発現している7種類のオプシンは、いずれも「刺胞動物Gs型」に分類された。すなわち、cAMPを上昇させるGs型Gタンパク質と共役していることが予想される。それぞれのオプシンの機能を阻害した際に明刺激や暗刺激への応答がどのように変化するかを調べるため、明タイプおよび暗タイプのゲノム解析を進めるとともに、CRISPR-Cas9によるノックアウト個体の作出を目指し、ガイドRNAの設計に取り掛かっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度(令和4年度)は、新型コロナウイルス感染症による行動制限と学内業務の増大の影響がまだ一部残っており、県外でのフィールド調査をほとんど行うことができなかった。また、卵巣で発現しているオプシンの探索にも当初の想定以上に時間がかかってしまった。

今後の研究の推進方策

本年度(令和5年度)のうちに、標的とするオプシンの機能阻害(ノックアウト)を成功させたい。現在、Clytiaというクラゲでノックアウトを成功させているフランスのグループと密に連絡を取っており、オプシンの機能阻害についていくつかの具体的なアドバイスを受けている。また、本年度は本研究課題の仕上げの年度となるため、これまでに得てきた結果をまとめ、学会発表を行うとともに、査読付きの学術雑誌への掲載を目指す。

次年度使用額が生じた理由

昨年度(令和4年度)は、新型コロナウイルス感染症の影響がまだ残っており、特に宮城県外でのフィールド調査が満足に行えなかった。本年度(令和5年度)には、必要なフィールド調査を行うとともに、学会等にも積極的に参加する予定である。また、ゲノム解析やノックアウト個体作出などの実験にも助成金を使用していく。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] A highly photostable and bright green fluorescent protein2022

    • 著者名/発表者名
      Hirano Masahiko、Ando Ryoko、Shimozono Satoshi、Sugiyama Mayu、Takeda Noriyo、Kurokawa Hiroshi、Deguchi Ryusaku、Endo Kazuki、Haga Kei、Takai-Todaka Reiko、Inaura Shunsuke、Matsumura Yuta、Hama Hiroshi、Okada Yasushi、Fujiwara Takahiro、Morimoto Takuya、Katayama Kazuhiko、Miyawaki Atsushi
    • 雑誌名

      Nature Biotechnology

      巻: 40 ページ: 1132~1142

    • DOI

      10.1038/s41587-022-01278-2

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] エダアシクラゲの卵巣に発現する放卵制御関連遺伝子の発現解析2022

    • 著者名/発表者名
      竹田典代、石井悠、彦坂暁、出口竜作
    • 学会等名
      生物系三学会中国四国地区合同大会2022年度島根大会
  • [学会発表] 明と暗の光刺激で放卵するエダアシクラゲの光受容タンパク質の探索2022

    • 著者名/発表者名
      竹田典代、石井悠、彦坂暁、出口竜作
    • 学会等名
      日本動物学会第93回早稲田大会
  • [学会発表] 褐虫藻が共生様式を進化させる過程で選択を受けた遺伝子の解析2022

    • 著者名/発表者名
      石井悠、金森駿介、出口竜作、河田雅圭、丸山真一朗
    • 学会等名
      日本植物学会第86回大会
  • [学会発表] エダアシクラゲの明タイプと暗タイプ2022

    • 著者名/発表者名
      出口竜作
    • 学会等名
      東京大学大気海洋研究所共同利用研究集会
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi