研究課題
今年度は毛の時計遺伝子発現を利用した疾患発症形成時期同定のためのシステム構築を行い、覚醒剤による脳神経変化時期を毛1本から検出することに成功した。毎日一定時刻にマウスやラットに覚醒剤を投与すると、投与の数時間前から活動量が増加し、体が何時に覚醒剤を投与されていることを予知しているような予知行動リズムが誘発される。予知行動は覚醒剤投与により脳内に新たな神経回路が形成され発現すると考えられ、覚醒剤の脳神経に作用する機構解明にもつながる。予知行動形成には時計遺伝子の発現誘導が伴うことが報告されているが詳細な機構は明らかとなっていない。今回、簡易的かつ非侵襲的に予知行動形成を毛1本から解析する計測システムを開発し、予知行動形成時期は毛の時計遺伝子Period1(Per1)発現変化で検出でき、覚醒剤投与3日目に形成されることを明らかにした。今後、覚醒剤による予知行動形成機構および覚醒剤関連研究に大きく貢献できる可能性が考えられる。さらに生体の遺伝子発現を計測・定量するには恒暗条件下で行う常識を覆す遺伝子発現定量を、地球上の昼夜サイクルに近い明暗条件下で、生体複数組織から長期間リアルタイムに遺伝子発現計測するシステムを構築した。本研究は、現代病の一つである生体リズムの乱れから発症する疾患である睡眠障害、糖尿病、癌(特に乳がん)、不妊症などの発症機構解明に貢献できます。さらに計測が不可能であった明暗条件下、植物の長期間の遺伝子発現計測が可能となることから、植物に対する地球上の長期的な季節変化や環境変化の影響が解析でき、農作物の品質改良に貢献できると考えられます。
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Biochemistry and Biophysics Reports
巻: 30 ページ: 101258
10.1016/j.bbrep.2022.101258
巻: 32 ページ: -
10.1016/j.bbrep.2022.101344
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