研究課題/領域番号 |
20K06747
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
本間 光一 帝京大学, 薬学部, 教授 (90251438)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 刷り込み / 甲状腺ホルモン / 早期学習 / プライミング / ニワトリ |
研究実績の概要 |
ムスカリン性アセチルコリン受容体が刷り込みに必要であることを示した。ニワトリヒナの脳領域(IMM)は、刷り込みトレーニングの開始後に神経伝達物質の放出が増加する重要な脳領域の 1 つである。しかし神経伝達物質の中でも、刷り込みにおけるアセチルコリンの役割は不明のままである。哺乳類の脳のアセチルコリンは、新しい記憶をコード化する上で重要な役割を果たしている。ムスカリン性アセチルコリン受容体サブタイプ 1(M1 受容体であることが示されている。我々は、刷り込みがムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)拮抗薬スコポラミンを両側のIMM 領域に注入することによって損なわれるかどうかを調べた。すると、スコポラミンの注入により、テストでの刷り込みスコアが減少したが、トレーニング中の刷り込みオブジェクトへのアプローチ数には影響しなかった。また、イムノブロッティングと免疫組織化学により、M3 受容体が IMM 領域で発現していることを明らかにした。これらのデータは、アセチルコリンが IMM 領域において、M3 受容体を介した記憶形成に関与していることを示唆する。スコポラミンを注入したニワトリヒナは、アルツハイマー病などの認知症の動物モデルとして役立つ可能性がある。 哺乳類では、セロトニン受容体(5-HTR)が扁桃体基底外側部(BLA)の恐怖関連神経回路を調節する。鳥では、脳での5-HTRの発現分布はあまり報告がなく、恐怖関連の行動に関与5-HTRは不明であった。今年度、哺乳類BLAで発現する7種類の5-HTR遺伝子群がすべて、背側弓外套で発現していることを見出した。この結果から、背側アルコパリウムのセロトニン作動性調節は、鳥の恐怖関連行動の調節に重要な役割を果たしていると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、2報の学術論文にその成果を発表した。1年目の成果としてはおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度のはおおむね順調に推移したので、今後はこのままの実験計画で研究を推進していきたい。研究計画の変更は必要とせず、研究を遂行する上での特段の課題は見当たらない。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、消耗品の使用が予定より少なく済んだことが主な理由である。次年度には今年度よりも多くの使用額が生じると考えられるので、概ね順調に推移している今年度の結果を踏まえ、さらに研究推進していくための適切な研究費の使用を計画している。
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