現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)チャネル型及び代謝型ACh受容体を介した非神経性AChの幹細胞制御 チャネル型nAChRsサブタイプα2β4のサブユニット(α2及びβ4)のIRES-mClover3マウスを作出し、両サブユニットの局在を、抗体染色(GFP抗体染色)及びFACS解析により調べた結果、パネート細胞に局在していることをin vivoレベルで明らかにすることができた。代謝型については、代謝型mAChR-M3のKOマウス解析の論文がLife Sci. Alliance (Takahashi et al. Life Sci. Alliance (2021) 4(9):e202000962) に受理された。 (2)代謝型mAChRsとチャネル型nAChRsとの機能的相互作用の解析 代謝型mAChR-M3のKOマウスでは、他の代謝型mAChRs (M1, M2, M4, M5) の遺伝子発現変動はないことを明らかにした(Takahashi et al. Life Sci. Alliance, 2021, 4(9):e202000962)。また、代謝型mAChR-M3のKOマウスのクリプトでは、RNA-Seq解析により、チャネル型nAChRサブユニットのβ4の遺伝子発現が上昇していることを見出した(変動率:5.5倍上昇、n=3)。このことから、代謝型mAChR-M3(分化・増殖抑制)とチャネル型nAChR-β4(分化・増殖促進)を介したAChの拮抗作用による腸幹細胞の制御が考えられた。 以上の結果から、非神経性AChが細胞分化、組織形成に関与しているという今までほとんど研究のターゲットにされなかったAChの新規生理学的役割の一端をin vitro及びin vivoで明らかにすることに成功したので、概ね研究目的は達成できたと考える。
|