研究課題/領域番号 |
20K06767
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
加藤 和貴 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (70378868)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 配列アラインメント / データベース / 正の淘汰 |
研究実績の概要 |
前年度に続きSARS-CoV-2配列のアラインメントに対する需要に対応した。 * コロナウイルスゲノムの網羅的なデータベースである GISAID EpiCoVの構築にMAFFTプログラムが使用された。GISAIDのRaphael Tze Chuen Lee博士の要請に基づき、次の新しいオプションを提供した。(1) コドンを考慮した塩基配列アラインメントを実装した。現時点では、特定のオプションとの組み合わせたときのみ動作する。すなわち、既存のアラインメントに新しい配列を付け加えるとき、既存のアラインメントにおけるタンパク質コード領域の位置と読み枠をユーザが指定すれば、コドンをなるべく壊さないようにギャップを挿入する。(2) 既存アラインメントを単一配列で代表させて、新しい配列を追加する近似的な計算を利用可能にした。その結果、特に本数の多いアラインメントの構築が容易になった。 * SARS-CoV-2配列の解析を試している過程で、このグループに近縁でコウモリやセンザンコウに感染するグループにと、ヒトに感染するようになったグループの間で、アミノ酸置換が起こっている座位が共通していることに気づいたので報告した (Katoh & Standley 2021)。このように置換しやすい座位の一致は、SARS-CoVとSARS-CoV-2の間には見られない。SARS-CoV-2とアウトグループの範囲で共通する感染機構に関わっているいくつかの座位が、正の淘汰を受けて急速に置換されている可能性を指摘した。 * 京都府立医科大学星野温博士による、逃避変異が出現しにくく、さらにコウモリなどに感染するグループにも効果の見られる、高親和性ACE2製剤の研究に協力した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウイルスの配列解析の支援のための機能の実装は予定外であったが順調に進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
本来計画していた、大規模アラインメントへの対応およびタンパク質立体構造を考慮したアラインメントに関する機能改善を進める。コロナウイルスの解析の影響により、本来の計画と異なる方向で大規模アラインメントのサポートを実現したので、それも利用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画に比べて出張が減ったため。
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