本研究課題では真骨魚類心臓に見られる進化的新規形質である“動脈球”の発生と進化に着目することで、前適応の分子メカニズムの解明に迫ることを目的としている。動脈球の形態形成に重要な役割を果たしているelastin bについて、相互作用する因子を複数同定することができた。また、動脈球を含む心臓各部位における細胞外環境の硬さを定量化する方法を確立し、その結果動脈球では心室などの他の心臓部位と比べて細胞外環境が有意に柔らかいことが明らかとなった。さらに胚発生過程における硬さの変化、また非真骨魚類における心臓各部位の細胞外環境の硬さ測定から、elastin bの発現(有無)と硬さに相関を見出した。
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