本研究では、共生菌がエラ細胞内に共生する深海性の二枚貝シンカイヒバリガイを用いて、共生菌の維持に関わる宿主由来の因子を同定し、その分子メカニズムを解明することを目標として研究を行った。研究方法としては、シンカイヒバリガイのエラ組織を用いて、発現遺伝子解析、抗体を用いた宿主由来の因子の局在解析などを実施した。その結果、共生菌は環境中からエラ上皮細胞の食作用によって細胞内の食包に取り込まれるが、宿主に分解されずに細胞内に維持される。共生菌の維持には、宿主の細胞内の栄養感知に関与する因子によって制御されており、細胞内共生は、このシステムを利用して共生を成り立たせている可能性を見い出した。
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