研究課題/領域番号 |
20K06780
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
柁原 宏 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (30360895)
|
研究分担者 |
嶋田 大輔 北海道大学, 理学研究院, 研究院研究員 (30768445)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 扁形動物 / 間隙性 |
研究実績の概要 |
2020年度は北海道内の3地点でサンプリングを行った。2020年8月に厚岸、11月に石狩浜、2021年3月に忍路で採集調査を行った。その結果原順列類(扁形動物門)のうちの担石類についてはすべての地点においてサンプル採集に成功している。忍路と厚岸の順列類の同定作業はまだ進行中である。 忍路では国内未記録(恐らく未記載種)のサザレヒモ(紐形動物門針紐虫綱単針目オトティフロネメルテス科Ototyphlonemertes)が得られた。本種はサザレヒモとしては小型で、一見して担爪類の扁形動物と見間違えるサイズであった。内部形態の特徴としては脳内平衡石が複数の顆粒からなり、吻装置の主針がらせん状で、吻中室と後室の間に特殊な領域があることから、本種はOtotyphlonemertes parmula種群のメンバーであると同定される。標本はすべてDNA抽出に用い、形態学的な証拠標本は残っていない。これまでに16S rRNAとチトクロームc酸化酵素サブユニット1遺伝子のPCR増幅を試みたが失敗に終わっている。 予備的な形態学的調査によると石狩浜で優先する原順列類は2種おり、ともに科Otoplanidaeに属するらしい。このうち一種は亜科Parotoplaninaeに属し、もう一種は亜科Otoplaninaeのうちの属Notocaryoplanaの一種であるらしい。少なくともParotoplaninaeは亜科として国内から未記録であり、石狩浜に産するものは未記載種である可能性が極めて高い。18S rRNAと28S rRNA遺伝子配列による予備的な系統解析を遂行中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
原順列類のうちの担爪類のサンプルが得られておらず、担石類と担爪類のどちらにも適用可能なプライマーサイトの探索に至っていないため。
|
今後の研究の推進方策 |
担爪類のサンプル入手を最優先課題として、大量の基質から抽出作業を行う計画である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイスル蔓延のため計画通りにサンプルを採集できなかったため。
|