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2020 年度 実施状況報告書

鳥類を終宿主とする鉤頭虫類の生活史の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K06781
研究機関旭川医科大学

研究代表者

佐々木 瑞希  旭川医科大学, 医学部, 助教 (00632126)

研究分担者 中尾 稔  旭川医科大学, 医学部, 准教授 (70155670)
筏井 宏実  北里大学, 獣医学部, 准教授 (80327460)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード鉤頭虫 / 鳥類 / 発育史
研究実績の概要

本年度は本州および北海道の鳥類30種71羽について消化管内における鉤頭虫寄生状況の調査を行った。このうち12検体より鉤頭虫成虫が検出された。形態学的ならびに分子学的同定により、Southwellina hispida, Pragiorhynchus sp., Centrorhynchus elongatus, Centrorhynchus sp.が同定され、その他未同定のものが複数得られた。Southwellina hispidaについては、両棲類や魚類を中間宿主、サギ類を終宿主とするとされているが、本研究によりカワウおよびトビにおける寄生が初めて確認された。
種々の魚類について、幼虫寄生を調査した。本州、九州ならびに北海道の淡水魚について調査したが、幼虫(シスタカンス)の寄生率は極めて低く、終宿主において蓄積されるのだと推測される。九州産のナマズからシスタカンス1個体が得られ、ミトコンドリアcox1配列からSouthwellina hispidaと同定された。本種は淡水魚および両棲類から魚食性の鳥類へ感染することが証明された。本州産両棲類(アズマヒキガエル、ヤマアカガエル、ツチガエルなど)の調査により、種不明のCentrorhynchus属鉤頭虫が2種確認された。一方、本州のイタチ類を中心とした哺乳類調査で、複数個体の消化管からこれらのCentrorhynchus spp.が未熟な状態で検出された。これらの種は本来鳥類を終宿主とするが、食肉目がカエルを捕食したことにより偶発的に寄生したと考えられる。北海道のネズミ類およびトガリネズミ類についても捕獲調査を行い、トガリネズミにおいては猛禽類に寄生するCentrorhynchus elongatusの幼虫が確認されたことから、トガリネズミと猛禽類における発育史が証明された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

多くの研究機関ならびに一般の方々の協力により、71羽という多くの鳥類検体を調査することが可能となり、研究を進めることができた。これに加え、魚類、両棲類、哺乳類を捕獲・採集あるいは協力者からの分与により調査した。これにより、Southwellina hispidaの成虫および幼虫を検出し、DNAバーコーディングによる同定が可能となった。鳥類から複数種が得られていることから、今後中間宿主から幼虫が得られた際にも同様に発育史の解明を進めることができる。今後の研究の進行に重要な役割を果たすDNAバーコーディングおよびデータベース作成を進められたことは有意義であった。

今後の研究の推進方策

引き続き、鳥類サンプルの調査を進める。さらに、中間宿主あるいは待機宿主となりうる魚類等についても採集、調査を行う。得られた鉤頭虫については順次形態学的同定とDNAバーコーディングの作業を進める。未だ多数寄生している幼虫を検出しておらず、感染実験には至っていないが、得られた場合はマウスおよびウズラを用いた実験を予定している。
DNAバーコードについては、データベースを構築し、共同研究者間で共有できるようにする。現在はFASTA形式のデータベースに順次追加し、local Blast検索が可能である。最終的にはWeb上で公開し、形態情報とともに検索可能なデータベースの完成を目指す。
本研究ですでに確認されているSouthwellina属鉤頭虫についてはDNAバーコードとともに新宿主、日本における分布について公表予定である。論文発表のための標本作成および遺伝子解析を勧めている。

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公開日: 2021-12-27  

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