研究課題/領域番号 |
20K06787
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
福井 眞生子 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 講師 (90635872)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 卵門 / 卵門様構造 / オリエンテーション / 組織学的検討 |
研究実績の概要 |
今年度は飼育下で十分な数のモリカワカマアシムシ卵の採取に成功したことから、卵門様構造の観察を行った。 これまでの卵の実体顕微鏡観察から、カマアシムシ目の卵門様構造は卵背面の赤道上に位置する単一の構造であると推察される。一方、カマアシムシ卵は完全な球形に近い回転楕円体であるため、ハンドリング可能な倍率での外部形態観察においては背腹の極性の判別は不可能である。まずSEM観察を試みてみたが、臨界点乾燥処理後に正確なオリエンテーションを行うことができず、卵門様構造の発見には至らなかった。 そこで、胚形態から極性を判別しやすい発生後期の卵を用い、組織学的な検討を行った。液中での透過観察により胚形態を観察しながらアガロースに包埋したのち、樹脂包埋、薄切し、組織学観察を行った。 推定卵門部の横断切片を観察した結果、卵背面赤道上のやや後極寄りに卵門様の凹み構造を発見した。構造はすり鉢型で、直径約10 μm、周囲には微小な突起が観察された。 本構造が卵門であることを形態学的に証明するためには、導管が外卵膜・内卵膜をともに貫通することの確認が必要である。そのため、同様のオリエンテーションを行った卵をエポキシ樹脂包埋し、超薄切片を作成した。 観察時の機材トラブルと新型コロナウィルスの影響もあり、今年度中のTEM観察は実現しなかったが、次年度準備ができしだい速やかに行いたい。今回見いだされた凹みが真の卵門であれば、“内顎類”昆虫類では初の知見となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで実体顕微鏡レベルでしか確認されていなかったカマアシムシ目の卵門様構造を卵表の凹み構造として確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、発見された構造に関し、更なる組織学的な検討を試みるとともに、SEM観察においても本構造の詳細な観察を試みる。受精のタイミングについても検討を行いたい。卵構造に加え、ゼロタイム卵やそれに近い卵の入手など、発生初期ステージにも着目した検討を行う。
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