ミナミヤモリ4系統の性染色体の比較解析から、沖縄島系統と石垣島系統の性染色体は共通祖先に端を発し、一方で北トカラ系統と南九州系統では独自に性染色体の進化が起きたと推定された。この様に、島嶼など小さな隔離地域に生息する個体群では独自の性染色体の進化や生物学的特徴の獲得が起きている可能性があり、これら隔離個体群の調査や保護の重要性が示された。ミナミヤモリ沖縄島系統と石垣島系統の性染色体の分化の開始には、脊椎動物の性分化関連遺伝子であるDMRT1の対立遺伝子間での分化が切掛となったことが改めて示唆された。この事は、性染色体の誕生には性分化関連遺伝子の収斂進化といった共通原理があることを支持する。
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