研究課題/領域番号 |
20K06794
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
川西 亮太 北海道大学, 地球環境科学研究院, 特任助教 (50609279)
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研究分担者 |
佐藤 崇 京都大学, 総合博物館, 研究員 (60436516)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 寄生虫 / 等脚目 / 深海 / iDNA / 自然史標本 / 博物館 / 魚類 |
研究実績の概要 |
寄生性の生活様式を持つ生物は様々な分類群に存在しており、地球上に生息する生物種の少なくとも半数以上を占めると考えられる。しかし、実際の種多様性や生態などの解明は自由生活性の生物種に比べて大きく遅れており、生物多様性保全における喫緊の課題となっている。特に、最後のフロンティアとも言われる深海域は直接の調査を行いづらい環境であり、寄生虫の多様性や寄生関係はほとんど未解明である。 本研究では、博物館に収蔵されている宿主魚類の既存標本調査と最新のDNA解析アプローチ(iDNA:寄生虫の消化管内にある宿主由来のDNA)を取り入れたフィールド調査を組み合わせることで、深海魚に寄生する等脚類(グソクムシやウオノエ)の種多様性と宿主特異性を網羅的に明らかにすることを目的としている。 今年度は新型コロナウイルスの全国的な流行により、博物館およびフィールドでの調査を延期・中止せざるを得ない状況がたびたび生じた。そのような中にあって、予備調査データと併せて、10目15科におよぶ深海魚類900個体以上を調査することができた。これらの魚類標本からは、複数種のウオノエ類を得ることができた。具体的には、ソコダラエラモグリ、トリカジカエラモグリ、オオエラモグリ、ホラアナゴノエなど、深海性ウオノエ類を中心に複数個体が得られた。フィールド調査については漁港等での現地調査は実施できなかったものの、各地の研究者や漁業関係者から試料を提供していただき、ウオノエ科だけでなくグソクムシ科の複数個体を得ることができた。これらを用いた予備的なDNA解析を行い、いくつかの種について塩基配列を決定することに成功した。次年度以降はこれらの試料およびデータを基にしたDNA解析を進めると共に、博物館ならびにフィールドでの調査を継続することで、本研究課題の完遂を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの流行により、野外調査や博物館調査のための出張を自粛せざるを得ない状況が続いた一方で、各地の研究者や漁業関係者から魚類等の研究試料を提供して頂き、多様性や寄生関係の解明等で一定の進展が見られたため。
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今後の研究の推進方策 |
野外調査等については新型コロナウイルスの流行状況に留意しながら実施を検討すると共に、ひきつづき各地の漁業関係者や研究者等に協力を依頼することで、研究試料の確保に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの流行により、野外調査などの出張を延期・中止せざるを得なかったことが主な理由である。次年度についても流行状況に留意しながら、旅費および魚類購入などの物品費として使用する。
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