研究課題/領域番号 |
20K06795
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
下村 通誉 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (30359476)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | エビヤドリムシ / 寄生 / 等脚目 |
研究実績の概要 |
本研究は、様々な程度に寄生生活に適応した多くの種を含む等脚目甲殻類を用いて、自由生活性等脚類から寄生性等脚類への進化の道筋と寄生生活に適した形態の適応的意義について明らかにすることである。特に寄生性等脚類の中で様々な群の出現に着目して付属肢と眼の形態やそれらの有無、体節の癒合状態などの形態と寄生場所の選択や転換および宿主の選択などの生態学的特性と合わせて議論を展開する。特定の分類群の分類学的研究を通して寄生虫学全体に貢献しようとする研究課題である。 本研究では等脚目の系統分類学的研究を通して、自由生活からどのようにして外部寄生や内部寄生に至ったのか、そしてその中でどんなイベントが起こったのか、さらにそれは寄生虫全体に当てはめることができるのかを明らかしようとする。2021年度は全国の博物館施設等で標本調査、調査船を使った採集調査を行う予定であったが、新型コロナ感染拡大防止のため、一部は中止・延期となった。そのような中、人数制限を行った上で11月に三重大学附属練習船勢水丸で調査航海を実施した。調査海域は熊野灘でドレッジによる底質採取を行った。採集調査により多くの十脚目甲殻類を得たがスナモグリ類およびカニ類の鰓腔内に寄生するエビヤドリムシ類をそれぞれ雌雄のペアで採集することができた。また、和歌山県白浜周辺の調査でエビ類の鰓腔内に寄生するエビヤドリムシ類の1ペアを得ることができた。本種は椎野季雄博士による原記載以来、約50年ぶりの再発見となった。また、他に白浜周辺でのエビヤドリムシ類の複数種を採集することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のため長期の宿泊を伴う採集活動に限界があり、当初予定していた一部の調査を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に充分に行うことが出来なかった野外調査を来年度に実施し、遅れを取り戻したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染拡大防止のため標本・採集調査を十分に行うことが出来なかったため次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせて、旅費として使用を計画している。
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