研究課題/領域番号 |
20K06797
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
鈴木 雅大 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 特命助教 (30637088)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 深所性紅藻 / 馬毛島沖 / 新種記載 |
研究実績の概要 |
2020年度は,鹿児島県馬毛島沖にて3回のドレッジ調査を予定していたが,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い,全て中止となった。 2016年から2019年までに行われた調査で採集,冷凍保存されていたサンプルを用いて遺伝子解析,形態観察,標本作製を実施し,これまでのデータと合わせて96種を確認した。作製した標本は国立科学博物館植物研究部標本庫に寄贈した。馬毛島沖の海藻に関する文献を蒐集,整理し,馬毛島沖深所性海藻リストを作成した。 遺伝子解析と形態観察に基づき,馬毛島沖水深35 mから採集されたマゲカバノリ(Gracilariopsis mageshimensis)を新種として記載した(Suzuki & Terada 2021, Phycologia)。マゲカバノリは扁平な体制の紅藻で,これまでシンカイカバノリ(Gracilaria sublittoralis)と同定されてきたものであるが,rbcL遺伝子とcox1遺伝子を用いた遺伝子解析において,ツルシラモ属(Gracilariopsis)のクレードに含まれること,雌性配偶体に形成される嚢果の構造がオゴノリ属(Gracilaria)ではなく,ツルシラモ属の特徴に当てはまることから,ツルシラモ属の新種として記載した。ツルシラモ属において扁平な体制を持つ種はベネズエラとブラジルに分布するGp. silvanaのみが知られており,マゲカバノリは2例目となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は,鹿児島県馬毛島沖におけるドレッジ調査に基づいて行われるものだが,2020年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い,調査を実施することが出来なかった。2016年から2019年までに採集され,冷凍保存されていたサンプルを用いることで,DNAバーコーディングと分類学的研究は概ね計画通りに進められているが,生育環境や光合成活性の測定などは実地調査が不可欠であり,2020年度はデータを得られなかった。
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今後の研究の推進方策 |
調査再開の目途が立つまでは,引き続きDNAバーコーディングと分類学的研究を実施する。ドレッジ調査が可能になり次第,実地調査の計画を立て,調査を実行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い,全ての実地調査が中止となったため,旅費が発生しなかった。生じた次年度使用額は,2021年度及び2022年度の旅費に充てる計画である。
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