研究実績の概要 |
2021年度は,鹿児島県馬毛島沖にて2021年5月,6月,10月にドレッジ調査を実施したが,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行のため,鹿児島大学水産学部練習船「南星丸」への乗船は自粛し,調査は鹿児島大学のスタッフのみで行われた。採集したサンプルを送付して頂き,195サンプルについて,遺伝子解析,形態観察,標本作製を実施した。内,134サンプルは,rbcL遺伝子とcox1遺伝子の塩基配列を決定し,DNAバーコーディングを行った。確認出来た種は累計134種となり,2020年度より38種増えた。作製した標本は国立科学博物館植物研究部標本庫に寄贈した。 1965年に馬毛島沖で採集,記載された紅藻シンカイヒメダルス(Rhodymenia prostrata)を原記載以来約50年ぶりに確認した。26S rDNA, rbcL, cox1の塩基配列を用いた遺伝子解析において,カサネイツツギヌ属(Halopeltis)のクレードに含まれること,体の内層に小形の細胞を持つこと,嚢果の内腔に粘液物質を持つことから,シンカイヒメダルスをマサゴシバリ属(Rhodymenia)からカサネイツツギヌ属に移した。Halopeltis prostrata G.W. Saundersという種が既に記載されているので,H. tanakaeとして新名を提唱した(Suzuki & Terada 2021, Phycologia)。
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