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2021 年度 実績報告書

植物の光受容体フィトクロムの生理的性質の変化が引き起こす種分化機構の検証

研究課題

研究課題/領域番号 20K06798
研究機関岡山大学

研究代表者

池田 啓  岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (70580405)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワードフィトクロム / RNAseq / 種分化 / 光感受性
研究実績の概要

本課題では植物が持つ光受容体が植物の種分化に関わるかを検証することを目指している。特に,日本列島に固有のミヤマタネツケバナとその姉妹種で高緯度地域(北極圏)に分布するCardamine bellidifoliaをモデル植物に,種分化に関連して,光受容体の性質が進化していることに着目した研究を進めている。本年度は昨年度までに入手したRNAseqデータを詳細に解析することで,ミヤマタネツケバナはC. bellidifoliaから約25万年前に派生した種であることを明らかにした。そして,ミヤマタネツケバナが派生する際に自然選択を受けた可能性のある遺伝子を探索したところ,約7000個の遺伝子のうち,1%程度の遺伝子がその候補として挙がってきた。これらの遺伝子はミヤマタネツケバナが日本列島の環境に適応して種分化したことに関連する遺伝子であると考えられ,その中に2種間で生理的性質の異なるPHYBが含まれていることが明らかになった。この結果はphyBにおける光感受性の進化が種分化を引き起こす重要な仕組みであることを示唆する。また,ミヤマタネツケバナの種分化に関連した可能性のある遺伝子の機能を,モデル植物の研究に基づき網羅的に調べたところ,ほとんどの遺伝子は機能が未知であったが,植物ホルモンであるジベレリンに対する応答を制御する遺伝子が含まれていることがわかった。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Divergence in red light responses associated with thermal reversion of phytochrome B between high‐ and low‐latitude species2021

    • 著者名/発表者名
      Ikeda Hajime、Suzuki Tomomi、Oka Yoshito、Gustafsson A. Lovisa S.、Brochmann Christian、Mochizuki Nobuyoshi、Nagatani Akira
    • 雑誌名

      New Phytologist

      巻: 231 ページ: 75~84

    • DOI

      10.1111/nph.17381

  • [学会発表] 北太平洋地域におけるイワギキョウCampanulalasiocarpaの分布拡大経路の推定2022

    • 著者名/発表者名
      池田啓・Polina Volkova・Kendrick L. Marr・Christian Brochmann
    • 学会等名
      第21回日本植物分類学会
  • [学会発表] ヤコグサGF14遺伝子の開花時期への寄与と進化2022

    • 著者名/発表者名
      若林 智美・Cathrine Skovbjerg・壽崎 拓哉・西田 帆那・池田 啓・瀬戸口 浩彰・川口 正代司・Stig Andersen・佐藤 修正
    • 学会等名
      第21回日本植物分類学会
  • [学会発表] 満鮮要素オカオグルマの分布変遷史の解明2022

    • 著者名/発表者名
      坂場友香・陶山佳久・松尾歩・池田啓・藤井紀行・藤井伸二・副島顕子
    • 学会等名
      第21回日本植物分類学会
  • [学会発表] MIG-seq解析を利用したオキナグサの分子系統地理学的研究2022

    • 著者名/発表者名
      西藤大朗・陶山佳久・松尾歩・藤井紀行 ・池田啓・岩崎貴也・Andrey E. Kozhevnikov・Zoya V. Kozhevnikova・Jae-Hong Pak・KyungChoi・Tian-GangGao・副島顕子
    • 学会等名
      第21回日本植物分類学会
  • [学会発表] 北日本のミヤマタネツケバナで見られた姉妹種からの遺伝子浸透と進化的意義2021

    • 著者名/発表者名
      池田 啓・Lovisa Gustafsson・Christian Brochmann
    • 学会等名
      第85回日本植物学会年会
  • [学会発表] ダイモンジソウの明暗適応における表現型可塑性と局所適応の役割2021

    • 著者名/発表者名
      孫田佳奈・後藤栄治・阪口翔太・池田啓・瀬戸口浩彰
    • 学会等名
      第85回日本植物学会年会
  • [学会発表] 満鮮要素ヒロハヤマヨモギの分子系統地理学的研究2021

    • 著者名/発表者名
      岩崎寛太・副島顕子・岩崎貴也・池田啓・藤井紀行
    • 学会等名
      第85回日本植物学会年会
  • [学会発表] ヤツシロソウの阿蘇集団は最終氷期に大陸から渡ってきたのか?2021

    • 著者名/発表者名
      江島 瑞貴・島袋誉・副島 顕子・岩崎 貴也・池田 啓・陶山 佳久・松尾 歩・竹下(村山)香織・Andrey E. Kozhevnikov・Zoya V. Kozhevnikova・Tian-Gang Gao・Hongfeng Wang・Siqi Wang・藤井 紀行
    • 学会等名
      第85回日本植物学会年会
  • [学会発表] ミヤコグサの開花時期を介した環境適応機構の解明2021

    • 著者名/発表者名
      若林 智美・Cathrine Skovbjerg・壽崎 拓哉・西田 帆那・池田 啓・瀬戸口 浩彰・川口 正代司・Stig Andersen・佐藤 修正
    • 学会等名
      第85回日本植物学会年会
  • [学会発表] 植物の光受容体フィトクロムにおける自然変異と環境感受性の進化2021

    • 著者名/発表者名
      池田啓・Polina Volkova・Kendrick L. Marr・Christian Brochmann
    • 学会等名
      第23回日本進化学会
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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