近年、生物の形態形成機構の進化を分子発生生物学的な見地から研究する「進化発生生物学(EvoDevo)」が重要な研究分野となってきた。提唱されてから100年以上経った現在でも結論が出ていない「甲殻類の背甲の進化起源」を探る本研究課題からは、主題である「背甲の進化の謎」に対する解答に留まらず、節足動物全体の形態多様性の成立と形態形成遺伝子群の分子進化との関係などに関して、学術的に意義の大きい、新たな知見が得られつつある。またこれらの知見は、エビやカニ等の食用甲殻類資源の保全や改良、食物連鎖を通じた生態系の回復や保全など、他の分野の研究にも寄与することが大いに期待される。
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