研究課題/領域番号 |
20K06805
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
保坂 健太郎 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (10509417)
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研究分担者 |
糟谷 大河 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 准教授 (90712513)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 菌類 / 分布 / 境界 / きのこ / 市民科学 / 環境DNA / DNAバーコーディング / 北限 |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトの目的は、以下の4点に集約できる: ①きのこ類複数種の国内における分布の北限・南限を明らかにする;②分布推定域内における土壌中の対象種DNAの検出率の差異を検証する;③種内の遺伝的多様性から分布の北上(南下)を考察する;④博物館をハブとする微生物の市民参加型調査の先例をつくる。
以上に基づき、2020年度の研究計画は、1)主に青森県を中心とする地域で調査協力者対象のワークショップおよび野外調査を実施する、2)対象とするきのこの種を選定する、3)対象種のDNAマーカーを整備する、の3点であった。
日本国内において分布の北限(および南限)があると考えられ、かつ多数の協力者によりその発生が容易に観察できると考えられるきのこの対象種を選定した。文献情報、新聞・ニュース等のメディア報道、ネーチャーガイド等からの目撃情報などから、現時点で把握できる限りの、各対象種における分布の北限を推定した。それら対象種について菌類のDNAバーコード領域である核ITS領域の塩基配列を決定したうえで、種特異的プライマーを設計し、環境(主に土壌)から検出するための体制を整えた。一方で、一部の対象種はタイプ標本が海外に保管されており、貸出による利用ができないものもあるため、直接海外の標本庫に出向くことで形態観察、DNA抽出などを行う予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大により実行はできなかった。また、その他予定していた野外調査による試料のサンプリングも同様の理由により十分にはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス蔓延にともない、予定していた海外機関でのタイプ標本調査および日本国内における野外調査が制限された。また、当初は実地にアマチュアの協力者対象のワークショップを各地で開催する予定であったが、同様に実施できなかった。そのためサンプリング体制が未整備のままである。一部についてはオンライン様式を採用することでより効率的に実施できると見込んでいるため、今年度中に遅れを取り戻す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
分布の北限があると推定される東北北部地域および北海道南部地域における野外調査を進める。アマチュアの協力者に作業手順を伝えるためのワークショップをオンラインもしくは新型コロナウイルスの拡大状況次第ではオフラインにより実施し、多数の目で対象とするきのこの種の発生をモニタリングする。対象種をさらに拡大し、各種を環境サンプルから確実に検出するための種特異的プライマーを整備し、分布の北限を明らかにするための実験系を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大にともない、予定していた野外調査・ワークショップ等が実施できなかった。未使用分については2021年度以降に野外調査およびワークショップ実施のために支出予定である。
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