研究課題
コロナウイルスで海外出張ができなかったため、クラゲの分布データは機構の撮影機器を航海出港現地に送り、海外研究協力者に依頼し、代わりに調査を実施してもらった。動画が納められたハードディスクを日本に送ってもらい、購入した高性能パソコンでその4Kビデオ動画を解析し、分布データを出した。機構の水中撮影機器を用いて録画された映像データはクオリティーが高く、分類群同定ができたが、船上で撮影してもらった顕微鏡画像は種同定に必要な分類形質が確認できないものが多く、海外に運送できる顕微鏡用デジカメを購入し、来年度に備えた。また、追加でクラゲの分布データを取得するために、米国海洋大気庁(NOAA)やシュミット海洋財団(Schmidt Ocean Institute)が主体となって実施した調査航海にリモートで参加し、中層調査を行った。さらに公開されているデータソースの徹底的な調査を行い、クラゲの分布データを集めた。2020年12月に行われた海洋研究開発機構の研究航海(KM20-11、小笠原諸島、首席研究員:Lindsay)に参加をし、無人探査機を用いて海底カルデラ内(暖かい海水)・外(冷たい海水)で分布の比較調査を行い、生息環境ニッチ分割モデリング用のデータを取得した。
3: やや遅れている
クラゲの分布データ取得については海外研究協力者の協力のおかげで順調に進んでいるが、遺伝子学的な手法で隠蔽種であるか、本当に同種であるかを調べるための試料を手に入れるのがコロナの影響で難しくなっている。
北太平洋東側の、貧酸素層が顕著な海域の画像データが5-6月中に海外から届く予定なので、それを解析し、分布データを準備する。ハビタットモデリングの第一段を実施し、9月開催予定の深海生物シンポジウム(フランス兼リモート開催)で成果発表を試みる。また、2022年1-2月に南太平洋東側のシュミット航海にリモートで参加し、データを補強する。さらに遺伝子解析用のプライマーをテストし、同種であるかどうかの徹底的な証拠を出す手法の確立を目指す。
2020年度にコロナ関係で研究航海や国際学会に参加できず、一部は2021年度に延期されたため繰り越した。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Plankton and Benthos Research
巻: 16(1) ページ: 40-58
10.3800/pbr.16.40
Biogeographic Atlas of the Deep NW Pacific Fauna
巻: - ページ: 67-88
10.3897/ab.e51315