研究課題
3次元生態系ニッチ分化モデリングをするための生物出現データを収集し、中層では高次食物段階にある剛クラゲ類の分布が地球環境の変動でどう変化するかをモデリングする取り組みで、2021年で当時計画していたのは、東南太平洋のチリ沖におけるシュミット航海(1月中旬ー2月中旬)及び相模湾、駿河湾、小笠原諸島航海(10月中旬ー11月上旬)で実施する「かいめい」ROVの調査航海で剛クラゲ類の出現分布を調査し、アノテーション作業を進めると共にモデリング開発することだった。しかし、1月中旬ー2月中旬予定の東南太平洋のチリ沖におけるシュミット航海は延期になった(新規船舶造船に変更)ので、出現分布データ収集はNOAAが運用する無人探査機Okeanos Explorerにて収集することに切り替えた(例:ニューヨーク沖合のEX2103_DIVE10及びEX2104_DIVE20、EX2107ではフロリダ半島北東沖DIVE03及びフロリダ半島東沖DIVE13など)。また、DeepGreen/TheMetalsCompany-ハワイ大学から委託を受けている外部資金航海(メキシコ西沖)においても分布データを収集した。あわせて、インターネット上にある様々な公開データセットをデータマイニングし、解析及びモデリングを実施した。剛クラゲ類の代表種とも言われるカッパクラゲに着目した結果を、9月にフランスで行われたDeep Sea Biology Symposiumでリモート発表した。現在は、その結果を紹介した論文を執筆中である。一方、カッパクラゲでは隠蔽種の存在が確認されたため、DNA解析を進め、種同定に用いられそうな形態形質の洗い出しをすると共に、より高品質な再解析を実施中である。
2: おおむね順調に進展している
当時計画していた研究調査航海が延期になったりしたが、臨機応変に対応し、異なるデータソースを確保し、研究を進めることができた。
いくつか研究の中で剛クラゲ類の隠蔽種の存在が確認された。高品質なモデリングを行うためには、異なる生理学的特性をもつ可能性がある隠蔽種を特定する必要がある。よって、3次元生態系ニッチ分化モデリングを実施しながら、DNA解析を進め、種同定に用いられそうな形態形質の洗い出し、より高品質な再解析を実施する予定である。
参加する予定であった研究調査航海が延期、またはリモート参加となり、学会もリモート参加となったので、旅費や調査機器運送費の費用が生じなかった。次年度は、隠蔽種を特定するために、本年度リモート参加となった航海に参加してくださった代行者が採集した試料のDNA解析、当機構に保管されている剛クラゲ類の試料のDNA解析を行う予定である。また、高精度3次元モデリング用クラスター計算システムを構築し、緯度経度グリッドを1度刻みでモデリングを実施する予定である。10月にフランスで開催される国際学会で発表するための旅費や執筆論文の出版費も支出する予定である。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Plankton and Benthos Research
巻: 16(1) ページ: 40-58
10.3800/pbr.16.40
Biodiversity Data Journal
巻: 9 ページ: -
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