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2022 年度 実績報告書

国内外来種の侵入による在来種群の消滅のメカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K06813
研究機関三重大学

研究代表者

河村 功一  三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (80372035)

研究分担者 古丸 明  三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (10293804)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード国内外来種 / 遺伝的攪乱 / 種間関係 / 生殖的隔離 / 系統地理 / 種間交雑 / 遺伝子浸透 / 棲み分け
研究実績の概要

外来個体の侵入によるアブラハヤとタカハヤの種間関係の変化を明らかにするため、交雑個体が最もよく見られた雲出川支流の両種の混生域において調査を行った。最初に両種の間での交配前隔離の有無を見るため、5-6月に水中カメラを用いた繁殖行動の観察を行った。その結果、タカハヤの雌に対し両種の雄が追尾行動を行うと言った集団産卵が確認され、混生域においては両種の間には交配前隔離はほぼ存在しない事が判った。次にmtDNA、μsatDNA(MS)分析により検出された交雑個体の各タイプ(F1:雑種第一世代、BC:戻し交雑)について血球サンプルを用いたフローサイトメーターによる倍数性判定を行った所、何れのタイプも2倍体であり、北米のPhoxinus属の種間雑種に見られる様な交雑に伴う倍数性の変化は認められなかった。HE染色による交雑個体の生殖腺観察では、F1雄においてはF1雌とは異なり不妊の可能性が高い事が再確認された。集団における外来個体由来と思われる遺伝子の浸透度について見ると、アブラハヤのmtDNAにおいては在来のハプロタイプだけでなく外来と思われる琵琶湖系のハプロタイプが検出されたが、核DNA(MS)においては外来と思われるクラスターは検出出来なかった。これに対し、タカハヤにおいてはアブラハヤと異なりmtDNAでは外来のものは見られなかったものの核DNAに置いて在来と外来の可能性が高い2クラスターが検出され、交雑個体においてもこの2クラスターは見られた。この理由として、アブラハヤとタカハヤは共に外来個体の移入により在来個体との間で交雑が生じているものの、頻度依存型交雑と雑種F1雄の不妊性により、外来個体のゲノムの浸透度は種間で異なる事が考えられた。また、交雑個体の出現様式について見ると河川における堰堤・砂防ダムといった河川構築物による生息環境の隔離が交雑を促進している可能性が覗われた。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Population genetic structure and demographic history of Rhodeus atremius suigensis, an endangered bitterling in Japan2022

    • 著者名/発表者名
      Kawamura Kouichi、Miyake Takuya、Smith Carl
    • 雑誌名

      Conservation Genetics

      巻: 23 ページ: 885~901

    • DOI

      10.1007/s10592-022-01461-7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 三重県宮川水系ならびに近隣水系におけるアカザ<i>Liobagrus reinii</i>の遺伝的集団構造2022

    • 著者名/発表者名
      生駒 歩、戸田 竜哉、長崎 哲新、河村 功一
    • 雑誌名

      魚類学雑誌

      巻: 69 ページ: 7~20

    • DOI

      10.11369/jji.21-016

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Unusual egg shape diversity in bitterling fishes2022

    • 著者名/発表者名
      Li Fan、Smith Carl、Kawamura Kouichi、Vete?n?k Luk??、Arai Ryoichi、Reichard Martin
    • 雑誌名

      Ecology

      巻: 103 ページ: 1-5

    • DOI

      10.1002/ecy.3816

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 日本産アブラハヤの遺伝的集団構造と移植の実態2023

    • 著者名/発表者名
      伊東茶宥・河村功一(他4名)
    • 学会等名
      日本生態学会第70回大会
  • [学会発表] mtDNAから見た近畿・東海地方におけるタカハヤの遺伝的特徴2022

    • 著者名/発表者名
      伊東茶宥・河村功一(他4名)
    • 学会等名
      2022年度日本魚類学会第60回大会
  • [学会発表] 遺伝情報から見た国内外来種による遺伝的攪乱の実態2022

    • 著者名/発表者名
      河村功一
    • 学会等名
      水産育種研究会シンポジウム:日本の希少な水圏生物を守るために遺伝学に何ができるのか?
  • [学会発表] 遺伝情報から見たスイゲンゼニタナゴの歴史2022

    • 著者名/発表者名
      河村功一
    • 学会等名
      スイゲンゼニタナゴの保全を考えるワークショップ
  • [図書] 環境省レッドリスト 日本の絶滅危惧生物図鑑:魚類2022

    • 著者名/発表者名
      河村功一(岩槻 邦男、太田 英利編)
    • 総ページ数
      350
    • 出版者
      丸善出版
    • ISBN
      978-4-621-30558-4

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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