本研究は藻食性スズメダイによるサンゴ群集の復元力への貢献を明らかにすることを目的とした。藻食性スズメダイのなわばり内外のサンゴ群集を追跡したところ、なわばりでは、ミドリイシやハナヤサイサンゴ属が多く生育し、種多様性と被度が高いサンゴ群集が成立した。調査期間にサンゴの大規模白化が発生し、特にミドリイシ属のサンゴが高い死亡率を示したが、スズメダイのなわばり内では、ミドリイシが被度を回復させ、サンゴ礁のレジリエンスに寄与することが示された。つまり、なわばりを持つ藻食性スズメダイが、サンゴの白化後にサンゴ着底の新たな基盤を拓き、サンゴ群集のレジリエンスを向上させることが示された。
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