生物多様性の根源となる遺伝変異は突然変異によって供給されるが,では,生物の進化的な変化に寄与する突然変異とは,一体どのようなものだろうか.それは,毎世代低頻度で生じる新生突然変異の中にみつかるのだろうか,それとも,既に生物集団中に一定量存在する多様性の中にみつかるのだろうか.この疑問に対する答えを与えることは,生物進化の基本原理を明らかにするだけでなく,ヒト遺伝性疾患の成り立ちを理解し,その診断法や治療法を開発する上で有用な情報をもたらしうるものであり,或いは,農作物等の有用生物をよりよいものへと改変したり,新たな機能変異を探索して遺伝資源を拡充したりする上でも役立つことが期待される.
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