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2023 年度 実施状況報告書

オスによるメスの交尾器破壊はゴミグモ属内でどのように進化したか?

研究課題

研究課題/領域番号 20K06817
研究機関京都女子大学

研究代表者

中田 兼介  京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (80331031)

研究分担者 馬場 友希  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (70629055)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワードマルゴミグモ / トゲゴミグモ / 交尾行動 / 交尾器破壊 / 父性確保 / 性的対立 / 分子系統
研究実績の概要

本年度は、1)マルゴミグモの交接行動と交尾器破壊の有無およびその機能についての観察を引き続き行った、また、2)ゴミグモ属の分子系統推定作業を進めた。さらに、3)トゲゴミグモの交尾器破壊について九州大学大学院生の西嶋武頼氏の行った調査データの検討と4)交尾器破壊の進化の理由として、その背景に性的対立が存在するかどうかについて既存データの検討、を行った。
1)では6個体から10例の追加観察データの取得に成功した。交尾器破壊率は83.3%で、破壊されたメスはすべて再交尾に失敗した。交尾器破壊が起こらなかったメスについては、再交尾実験ができなかった。また、1メスが交尾バウトを途中で終了した。以上の結果は、2022年までに観察された結果と矛盾するものではなかった。
これらの観察により、2021年からの3年間で総観察数が55例となった。このデータと同属のミナミノシマゴミグモにおける観察データを合わせて、二種の交尾器破壊の記載とゴミグモ属における交尾器破壊に関する生態の種間変異に関して論文原稿を作成し、投稿した。投稿原稿は現在査読中である。
2)については、引き続き最尤法とベイズ法の2通りの方法で再解析を行い、論文原稿作成にとりかかった。
3)について、ゴミグモ属他種との生態の比較を行い、投稿論文原稿の作成作業を行った。
4)について、交尾回数が増えると産卵回数および1回の産卵あたりの卵数が増加することを示す解析結果を得た。これは性的対立が存在することを示唆する結果で、交尾器破壊の進化を考察する上でこれまで確認されていなかったものである。このことについて投稿論文原稿を作成した。3)4)についてはまだ投稿には至っていない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

論文原稿を作成し、一部は投稿に至ったもののまだ査読中の段階に留まっており掲載決定にはなっておらず、他の原稿についてはまだ投稿ができていないため。

今後の研究の推進方策

現在投稿中の原稿を掲載状態にするとともに、作成中の原稿を完成させ、掲載を目指す。

次年度使用額が生じた理由

論文作成と公開に遅れが生じており、使用を計画していた論文作成費とOA費を使用しきれなかった。次年度は引き続き、英文校正を含む論文作成費とOA費として使用する計画である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (6件)

  • [学会発表] トゲゴミグモの交尾器破壊 : 不完全な破壊がもたらす再交尾抑制2024

    • 著者名/発表者名
      西嶋武頼・鈴木佑弥・中田兼介・立田晴記
    • 学会等名
      日本生態学会第71回全国大会 自由集会「一寸の虫にもラブの魂 VIII」
  • [学会発表] 性的共食いは交尾器破壊への対抗策として行われるか?2023

    • 著者名/発表者名
      中田兼介
    • 学会等名
      日本蜘蛛学会第55回大会
  • [学会発表] トゲゴミグモの不完全な交尾器破壊はメスの再交尾をどのように抑制するのか2023

    • 著者名/発表者名
      西嶋武頼・鈴木佑弥・中田兼介・立田晴記
    • 学会等名
      日本蜘蛛学会第55回大会
  • [学会発表] トゲゴミグモにおける交尾器破壊と再交尾抑制のメカニズム2023

    • 著者名/発表者名
      西嶋武頼・鈴木佑弥・中田兼介・立田晴記
    • 学会等名
      日本動物行動学会第42回大会
  • [学会発表] トゲゴミグモの不完全な交尾器破壊がメスの再交尾に与える影響2023

    • 著者名/発表者名
      西嶋武頼・鈴木佑弥・中田兼介・立田晴記
    • 学会等名
      日本生態学会九州支部・九州沖縄植物学会・日本動物学会九州支部 三学会合同大会
  • [学会発表] トゲゴミグモで見られる不完全な交尾器破壊が再交尾抑制をもたらす要因2023

    • 著者名/発表者名
      西嶋武頼・鈴木佑弥・中田兼介・立田晴記
    • 学会等名
      第83回日本昆虫学会大会

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公開日: 2024-12-25  

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