河川では下流ほど潮汐の影響が強いため、上流から下流への分布拡大には潮汐サイクルへの適応が求められる。一方で、隣接する環境間で遺伝子流動がある場合、とくに移入を受けやすい下流側において、局所適応が困難になる予想される。河川性巻貝のチリメンカワニナは一部の河川で感潮域まで分布が広がっている。本研究では、まず、本種において感潮域集団の個体だけが活動量に概潮汐リズムを示した。ただし、実験室内で潮汐サイクルに暴露すると、どちらの集団の個体であっても約12時間周期の活動リズムを示した。このことは、環境サイクルに応答して内在リズムが変化させることで、本種が下流環境に適応してることを示唆している。
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