研究実績の概要 |
今年度は、前年度に単離を行なった好気条件下での2,4-ジクロロフェノールとMnCl2、NiCl2に対する計408の陽性クローン候補について、ベクターにアニーリングするプライマーと一部は挿入断片内部にアニーリングするプライマーを用いてSanger法により挿入DNA断片の塩基配列を解析した。その結果、274クローンについては配列を明らかに出来た。残りの134クローンについては、更なるプライマーウォーキングが必要であったり、難読配列であったものである。ただし、MnCl2とNiCl2について、1.5kbp程度の大腸菌16S rDNAを挿入断片としたクローンはこれらでレポーター遺伝子の発現誘導は観察されなかったが、inverse PCRで作製した空ベクターを保持したクローンでは発現誘導が観察されており、陽性クローンの扱いについて今後注意が必要であると考える。また、嫌気条件下でのみ3-クロロ安息香酸に応答する4つのクローンの内の3つ(挿入断片1114 bp, 1405 bp, 1705 bp)について、inverse PCRによりそれぞれ6種の欠損変異体を作製し、一部は解析が終わった。 研究期間全体を通じ、evoglowをレポーター遺伝子とした海底下微生物メタゲノム由来SIGEXライブラリーの作製に成功し、嫌気条件下でのみ3-クロロ安息香酸に応答するクローンを単離出来た。また、それらのライブラリーがハロゲン化合物と金属イオンに高い応答性を示すことを見出し、多くの基質応答クローン候補を単離出来た。
|