本研究は,捕食者の直接的な学習経験だけでなく,他者の行動をモデルとして観察する学習が,被食者の不味さや危険さと関連した目立つ体色を創出・維持する,という警告色の社会学習モデルの妥当性を検証することを目的とする.そのために,様々な分類群(魚類,両生類,爬虫類,ヒトを含む霊長類)を対象にした認知学習実験を行うことで,モデルの汎用性を検証する.昨年度までに,魚類(ゼブラフィッシュ),両生類(ダルマガエル),霊長類(ニホンザル)において,赤黒縞模様刺激に特異的に恐怖情動が想起すること,その情動想起が恐怖学習を促進することを明らかにした. 今年度は,昨年度に続き,魚類(ゼブラフィッシュ)を研究対象に,赤黒縞模様刺激以外に恐怖情動を想起する刺激の探索を行った.また爬虫類(オキナワトカゲとニホントカゲ)を研究対象に,赤黒縞模様刺激に対する恐怖情動想起の有無を検討した.後者については,現在,ビデオデータを解析している途中である.
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