研究課題/領域番号 |
20K06836
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
藤田 志歩 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 准教授 (90416272)
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研究分担者 |
井上 英治 東邦大学, 理学部, 准教授 (70527895)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 生活史 / 社会構造 / 雄間競争 / 性成熟 / 内分泌 / ストレス / ゴリラ / 大型類人猿 |
研究実績の概要 |
本研究は、ゴリラにおける社会構造の種内変異について、その基盤となる「オスの移出」という生活史イベントに着目し、移出のプロセスに関わる至近要因を 内分泌動態から明らかにすることを目的とする。ガボン共和国ムカラバ-ドゥドゥ国立公園において、ニシローランドゴリラのオスを対象に、オスの移出のタイ ミングと内分泌動態との関連について分析する。対象個体から糞便試料を収集して、糞中コルチゾル濃度および糞中テストステロン濃度を測定し、個体のストレ スレベルと性成熟について調べる。個体の同定は、糞便試料から抽出したDNAの遺伝子解析によって行う。また、社会交渉に関する行動データを収集して敵対的 交渉の頻度などを分析し、出自群における父親との葛藤が、移出のタイミングにどのように影響を及ぼすのかについて調べる。 2021年度は行動データおよび糞便試料収集を行うであったが、新型コロナウイルス感染症の影響により海外調査が実施できな かった。そのため、既存の試料を用いて解析を行った。これまでに収集した糞便試料から、個体識別のための遺伝子解析を行った。その結果、性成熟に達するブラックバックのオスでは、他の年齢区分のオス個体に比べ、ストレスの指標であるコルチゾル濃度が高いことが分かった。さらに、コルチゾル濃度上昇のタイミングは、オスが出自群から移出する年齢とほぼ一致した。いっぽう、性成熟に伴うテストステロン濃度の上昇は、今回の分析では検出することができなかった。 以上の研究成果について、日本霊長類学会大会およびJoint Meeting of the International Primatological Society and the Latin American Society of Primatologyにおいて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、予定していた海外調査が実施できなかった。しかし、調査地では、現地の連携研究者および研究アシスタントによって対象ゴリラ群のモニタリングが継続されており、渡航が可能になった時点ですみやかに調査を再開できる状況である。 2021年度は、新たなデータの収集は行えなかったため、既存のデータを用いて分析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は予定していたガボン共和国での現地調査を実施し、ゴリラの行動データおよび内分泌・遺伝子試料を収集する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症蔓延のため、海外調査が実施できなかったため。2022年度に持ち越し、調査を実施する。
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