研究課題/領域番号 |
20K06838
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中橋 渉 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授 (60553021)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ラエトリの足跡化石 / 直立二足歩行 / 古人類社会 / ウェブカメラ / 子育て |
研究実績の概要 |
1978年に発掘されたラエトリ(Laetoli)の足跡化石は、約370万年前のアウストラロピテクス・アファレンシス(Australopithecus afarensis)のものと推定される生痕化石である。その中で、大小2個体が並んで歩いている足跡を残したのが、どのような関係性の2個体だったのかを知ることは、古人類社会の様相を知るうえで極めて重要である。すなわち、その2個体がもし配偶カップルだったとするならば、アウストラロピテクス・アファレンシスが体サイズの性的二型の大きい生き物だったということになり、またもし父子だったとするならば、父親の子育てが存在していたということになる。本研究課題では、ヒトのカップルと親子の歩行パターンをウェブカメラの映像から分析し、足跡化石に見られる特徴と一致する組合せはどれかを探ることを目指している。それによって、ラエトリの足跡化石を残した2個体が配偶カップルだったのか親子だったのか、もし親子だったならそれは母子だったのか父子だったのか、を推測することが可能となる。当該年度は、新型コロナウイルス問題の影響で一時的に完全に研究がストップするなどしたが、収集可能な動画データの調査と、動画解析方法の探究を行った。また、ラエトリの足跡化石とアウストラロピテクス・アファレンシスなどの古人類に関する文献調査を行った。これにより、今後、新型コロナウイルス問題の影響が弱まり、人々の自然な行動が容易に観察できるようになった際に、スムーズに研究を推進できる準備を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス問題の影響で、大学が閉鎖されたり、国内外への出張が事実上不可能になったりするなど、数多くの想定外の事態があったため、計画を全体的に後ろ倒しせざるを得なくなった。また当初の予定では、世界各地の人々の行動を観察して分析する計画であったが、新型コロナウイルス問題の影響で人通りが激減するなどしたため、予定通りの動画データの収集が困難となった。
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今後の研究の推進方策 |
世界各地の人々の歩行パターンが解析可能な解像度の動画データを収集する。そしてそれを解析することで、まずは歩行パターンに地域差(文化差)があるかどうかを明らかにする。さらに、カップル、母子、父子における歩行パターンの違いを分析し、ラエトリの足跡化石にみられるパターンとどれが最も近いかを探究する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス問題の影響で、大学が閉鎖されるなどしたため、研究が一時的にストップし、また国内外への出張も全く行うことができなかったことが理由である。次年度以降は、当初の予定通りの機器の購入や旅費の使用を見込んでいるが、新型コロナウイルス問題の状況次第では更なる遅れも懸念される。
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