研究課題/領域番号 |
20K06840
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
李 スミン 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 助教 (90600429)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ipRGC / 非視覚的作用 / 錐体 / パルス光 |
研究実績の概要 |
これまでの科研費による光研究の成果と企業との共同研究の成果を踏まえ、ヒトの非視覚作用に影響する錐体と内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGC)の詳細な働きを究明することを計画した。 波長420 ~ 670 nm の各種単色光を単独に照射、あるいはパルス発光頻度制御により作成した多色光(白色)を照射した時の視覚誘発電位・瞳孔径などの生理反応測定と主観評価を行う。これらによって、非視覚作用に関与する錐体とipRGCの働きを明らかにすると共に、ヒトに優しい人間中心の光環境(Human Centric Lighting)を求めることを目的とした。 しかし、昨年春から始まったコロナの影響で人体を計測する実験は大学のコロナ拡散防止の方針によって規制が多く、被験者を募集するのも難しかった。そこで、予備実験しかできなく、今年から本格的に本実験を行う予定である。以下に予備実験の結果を述べる。 色覚正常な成人7名が6つの予備実験に参加した。この予備実験は本実験の前、被験者に照射する光条件を細かく検討するため行われた。 光条件としては青色(B:ピーク波長470nm)、緑色(G:ピーク波長550nm)、赤色(G:ピーク波長670nm)の各単色光を単独、あるいはパルス発光頻度制御により作成した各多色光(白色)条件を照射した。多色光条件の中ではパルス発光頻度制御よりパルス幅1msのR/G/Bのパルス発光頻度割合を(400ms:300ms:300ms)、(400ms:200ms:400ms)、(400ms:150ms:450ms)にした。その結果、視覚誘発電位と対光瞳孔反応では有意な結果が得られなかった。予備実験の結果を検討し、パルス発光頻度制御のパルスの放射照度、R/G/Bのパルス発光頻度、パルス幅などについて適宜修正する必要があると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナの中、人を相手にする実験であるため、被験者を募集するのが難しかった。普段は被験者を派遣会社から送ってもらったり、学生を被験者にしているが、コロナの状況だとやはり学生や派遣会社から紹介される相手が不特定多数であるため、実験に参加させるには無理があった。 また、コロナ拡散防止のことで大学でも、できるだけ人が集まらないように指示されたため、本実験を行うのが難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年の5月から高齢者のワクチン接種が始まることから一般人の接種もそろそろ始まる予定であるため、本格的な実験を行うことに無理はないと思われる。今まで行ってきた予備実験を基盤にし、細かい条件を調整しながら、今後、本実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は人体の生理的に計測する研究であるが、昨年から始まったコロナの影響で本実験まで至らなく、予備実験だけ行われた。そして、本格的な実験のため、必要な機材などの購入をしなかったため、計画した使用額に差が生じている。しかし、そろそろワクチン接種が始まっているため、これからは本実験を実施するのが可能だと思い、この使用額を計画通り使わせて頂く。
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