研究課題/領域番号 |
20K06843
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
齋藤 誠二 岡山県立大学, 情報工学部, 教授 (70452795)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 足部形状変形 / 足部の痛み / 歩行 / 成人女性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,運動中の足部がどのように動くのか(変形するのか)を明らかにし,靴の形やその変形具合との不適合で生じる圧迫による痛みを抑制できる最適な靴の形状を提案することである.当該年度は,前年度に確認した足型計測方法に従い,成人女性20名の足部形状の計測と痛みの個所と程度の調査を実施した.その結果,足部疾患を有する人の歩行中の足部形状は,有していない人とは異なる変形を呈することを示した.具体的には足部疾患を有していない人に比べて,内反小趾・偏平足を有する人は歩行中に甲の高さが高くなること,外反母趾を有する人は歩行中に土踏まずの長さが短くなること,内反小趾を有する人は歩行中に足幅が短くなることなどを示した.また,足部変形と痛みの程度の関係については,足趾の付け根周辺などでは,変形が拡大方向で痛みの程度が増加することを示した一方で,甲部,内果周辺,踵部などでは,縮小方向でも痛みの程度が大きくなることが確認された.これらの結果は,これまでのような静止立位時の足部形状を基にした靴づくりでは,歩行中に起こる足部変形に対応できず,圧迫等による痛みが発生してしまうことを裏付けるものである.つまり,足部疾患罹患者の着靴による痛みの原因のみならず,足部疾患を有していない女性の足部痛み発生の原因を示すものであり重要な成果であると考える.しかし,これらは成人女性20名(40足)の結果であり,限定的である.なお,これまでの成果(足型計測方法と足部疾患を有する人の歩行中の足部形状)については,学会において発表済みである.また,現在までに100人弱の足部形状計測と痛みの調査を終えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度から2021年度にかけて成人女性300人の歩行中の足部形状計測と痛み発生の部位調査を完了している予定であった.しかし,新型コロナ感染症の拡大を受けて,予定していた地域の健康教室や県外での計測・調査がすべて中止になった.そのため,目標とする対象者数には達していない.2021年度に比較的効率的に足型形状を計測できる方法を確立できたこと,また学内の学生及び教職員の計測・調査が可能となったことで進度は大幅に改善している.現在までに100人弱の計測・調査は完了している.
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今後の研究の推進方策 |
今後もコロナ禍において対象者の確保が課題となる.学内の学生及び教職員を中心に計測・調査を実施するとともに,比較的高齢の女性対象者を確保できるように感染症拡大状況をみながら関係者と引き続き連携して進めていく.また,ある程度の結果が出そろったら,靴メーカーとの協議を進め,プロトタイプシューズの作成と評価を進めていきたいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた他県での計測が新型コロナ感染症拡大の影響により実施できなかったことにより,旅費,被験者謝礼,実験補助者の人件費の支出が少なく繰り越しとなった.また,学会発表もオンライン開催となったことで旅費の支出がなくなった.今年度は計測がある程度できるため,謝金や人件費に使用するとともに,研究成果を発表する機会が増える予定であるため,それらに使用する計画である.
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