研究課題/領域番号 |
20K06846
|
研究機関 | 金沢学院大学 |
研究代表者 |
清田 直恵 金沢学院大学, 人間健康学部, 准教授 (90559189)
|
研究分担者 |
藤原 勝夫 金沢学院大学, 人間健康学部, 教授 (60190089)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 姿勢制御 / 床傾斜 / 水平床移動 / 筋電図 / 伸張反射 / 抑制 / 適応 |
研究実績の概要 |
一過性後方床移動後のtoe-up床傾斜時の床移動強度と床傾斜強度の組み合わせによる筋活動と眼球運動反応時間の変化の検討に先立ち、強い床傾斜外乱刺激に対する姿勢筋の応答を検討した。2つのコンピューター制御式電気モーターを用いて、前後方向の水平移動と傾斜外乱が負荷された。この外乱装置には床反力計が搭載された。初めに安静立位における前後方向の圧中心位置(CoPap)を測定した。床の傾斜軸の位置が安静立位におけるCoPap位置に一致するように足部の位置を規定した。外乱装置上で安静立位を保持した被験者に対し、初めは一過性の後方床移動外乱を負荷し、ランダムな試行回数(5試行以上)の後に、toe-up傾斜外乱に切り替えて5試行負荷した。表面筋電図を用いて全身の筋活動を、三次元動作解析により姿勢運動様式を捉えた。傾斜角度は、10度および12度とした。 水平床移動および床傾斜刺激の約120ms後に腓腹筋と大腿二頭筋、約150ms後に脊柱起立筋の活動が認められた。腓腹筋および大腿二頭筋の活動は、水平床移動刺激時には比較的一定であったが、床外乱刺激が傾斜に切り替わった後、試行の反復により減少した。10度刺激では、活動減少後の試行で筋活動の変動が認められたのに対し、12度刺激では、活動減少が持続的に認められた。 筋活動の潜時からして、伸張反射の中潜時応答であると考えられる。その筋活動は、状況に応じて適応的に抑制されることが示された。また、強い刺激であるほど、抑制が持続する可能性が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、研究の実施に必要な被験者と時間の確保ができなかった。そのため令和3年度は、令和3年度の結果を踏まえて、傾斜角度を10度と12度に決めて、その違いを検討した。今後、被験者数を増やして実験を重ねたい。
|
今後の研究の推進方策 |
傾斜刺激に対する適応的抑制現象は、抑制せざるを得ない状況でより明確に認められることが、これまでの検討から明らかとなってきている。今後は、水平移動刺激と傾斜刺激を組合わせ、より強く抑制される刺激を模索する。また、筋電図の分析を主に行っているので、刺激に伴う身体各部位の動きとの関連性について、記録しているデータの分析を進める予定である。加えて、中枢神経系の活性化状態について検討するために、眼球運動反応時間を測定する実験計画も立てることとする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大予防の影響で、当初予定していた実験を十分に実施することができず、消耗品および人件費を支出しなかった。また、学会発表がオンラインとなり、旅費も支出しなかった。代わりに、多チャンネルの生体記録装置の更新を行った。今年度は実験に必要な消耗品および人件費を支出する予定である。
|