研究実績の概要 |
利きの発達過程について大きな進展があり、原著論文1報を発表した。 *Yuichi Takeuchi, Yuna Higuchi, Koki Ikeya, Masataka Tagami & Yoichi Oda. Experience-dependent learning of behavioral laterality in the scale-eating cichlid Perissodus microlepis occurs during the early developmental stage. Scientific Reports. 12: 723. 2022.
私たちの利き手のように、数多くの動物たちにも、身体の左右一方をよく使う利き現象が見られる。利きは発達段階のいつ・どのように獲得されるのだろうか?一般に利きの確立過程を明らかにするには、長期にわたる追跡調査、遺伝要因の解析や生後発達における経験のコントロールが必要で、どのようなルールに基づいて利きが獲得されるのかは、長年の謎だった。 利きのモデル動物画である鱗食魚は、鱗食経験に応じて襲撃方向の好み(利き)が強化される。では、学習する機会があればいつでも利きは確立できるのか、鱗食未経験の幼魚(4ヶ月齢)・若魚(8ヶ月齢)・成魚(12ヶ月齢)を用いて分析した。どの時期の魚も、初めは左右からランダムに獲物を襲ったが、幼魚は経験を重ねるごとに、生まれつきの顎の形に対応した側から襲撃するようになり、最終的に8割が利きを獲得し、若魚も5割は利きを獲得できた。一方、成魚は実験を繰り返してもランダムなままで、1匹も利きを獲得しなかった。つまり、利き獲得には発達初期における鱗食経験が必須、という利き獲得の感受性期を初めて実証した。
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