研究課題/領域番号 |
20K06858
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
山下 哲 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (40740197)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | オレキシン / 光遺伝学 / ファイバーフォトメトリー / 自律神経 |
研究実績の概要 |
自由に行動中のマウスのオレキシン神経の自発的な発火を、GCaMP6 を用いたファイバーフォトメトリー法により測定することを試みた。そのために、オレキシン神経特異的に tTA を発現したマウスの視床下部領域に、tTA 依存的に GCaMP6 を発現させる AAV を感染させ、視床下部領域直上に光ファイバーを埋め込んだマウスを作成した。結果、オレキシン神経細胞への自発的なカルシウム流入による蛍光変化は、小さな短時間(1~2秒)の上昇と、非常に大きく持続的(数十秒)な上昇の2パターンに分類できた。これらのパターン別に心拍数の変化を解析するため、同じマウスに無線式の心拍数測定用送信機を腹腔内に留置した。これにより、自由に行動中のマウスのオレキシン神経活動を測定しながら自律応答変化を観察した。その結果、大きな蛍光変化が生じた時のみ、蛍光変化が生じた直後に心拍数が増加していることが明らかとなった。そこで、オレキシン神経活動のパターン別生理的役割を解明するために、光遺伝学的手法を用いて視床下部オレキシン神経の活動をさまざまな頻度で操作した際の心拍数の変動を解析した。オレキシン神経特異的に tTA を発現したマウスの視床下部領域に、tTA 依存的に ChR2 を発現させる AAV を感染させ回復後、心拍数を測定しながらオレキシン神経を光により活性化した。その結果、高頻度でオレキシン神経の活動を誘導した場合にのみ、有意な心拍上昇反応が認められた。このことから、オレキシン神経が高頻度に活動し、大きなカルシウム流入があった時のみ、交感神経系の賦活化による自律応答が引き起こされていることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画書では上記の実験は令和2~3年にかけて行う予定であったが、令和2年度中に実験を終え、結果を出すことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は逆行性AAVを用いた投射部位特異的なオレキシン神経が自律応答に果たす役割を解明していく予定である。また、上記のようなオレキシン神経の活動が病態下でどのように変化するのか検討する予定である。
|